新型コロナ感染が広がるニューヨークで

ニューヨーク州で初の感染者が確認されたのが3月1日。そして3月20日現在、ニューヨーク州の感染者は8千人近く、ニューヨーク市だけでも6千人に迫る勢いです。2月初めには、まだ中国や日本のコロナ騒ぎは対岸の火事でした。2月5日にアメリカ初の感染者が確認され、シアトル郊外の老人ホームを中心に感染拡大がニュースになっても、ニューヨークではまだ他人事という感覚があったと思います。世界中から人が行き来するニューヨークに感染者がいないわけがない、と誰もが思ってはいましたが、ここまで急激に来るとは想像だにしませんでした。

ほんの1ヶ月前には、アメリカでは毎年インフルエンザで大勢亡くなってるんだし、コロナだって手洗いをしっかりしておけば、それほど恐れることはない、という感覚でいました。が、この3週間でコロナウイルスに対する考え方はガラッと変わりました。その理由は感染者が増加したからというより(それも多少はありますが)、入ってくる知識が増えたからです。一番最初にぞっとしたのは、2月末にニューヨークタイムズのデイリー(ポッドキャスト)で、「新型コロナの感染が広まった場合に一番問題になるのは人工呼吸器が足りないことだ」という話をきいたときです。重症の肺炎患者を救うために必要な人工呼吸器はどこの病院にもわずかしかなく、簡単に増やせるものでもない。そこに多くの肺炎患者が押し寄せたら患者を見殺しにせざるを得ないというものです。そして、その通りのことがイタリア北部で起こっていることが次々と報道され出しました。イタリアはアメリカに比べれてはるかに良い医療システムがあり、感染が拡大したロンバルディアはイタリアでも一番裕福なエリアです。そこがまるで野戦病院のようなになり、年寄りや重篤患者を泣く泣く見殺しにする事態が実際に起きているわけですから、アメリカで感染が拡大したらもっと悲惨なことになるに違いないというのは誰にでも簡単に想像できます。

初めてニューヨークで患者が見つかったときは、アメリカでも日本と同様にクラスターを囲い込む対策をとっていました。が、コロナウイルスのテストが実施されるようになって感染者数倍増にしたがって、感染防止対策も一斉にロックダウンの方向へ向かっていきました。まず多人数の集まるコンサートやミーティングが中止され、ブロードウエイがしまり、映画館がしまり、学校が休校になり、レストランやバーが休業となり、とうとう今日からニューヨーク州は全員自宅待機となりました。生活に必要な店やサービスをのぞいてすべてがシャットダウンで、医療機関、食料品店、薬局、ガソリンスタンドなどはあいてますが、歯医者は緊急のみ受け付け、医療機関も急を要さない手術や治療は延期、交通機関は間引き運転です。ちなみに美容院は休業です。仕事は在宅のみ、友だちなどを訪問するのも禁止。ジムはとっくに休業ですが、屋外での散歩やジョギングもお互いに6フィート(約180センチ)以上離れることになっています。つまりニューヨーク全体が無期限の引きこもり生活です。もちろん経済的な打撃は生半可なものではありませんが、ニューヨーク州知事のクオモは「それでも生きてさえいれば、また立ち上がれる。またニューヨークを築ける」とまで言っていました。気分はもうゲーム・オブ・スローンの「長き夜の戦い」です。それが説得力をもつほど、今のニューヨークには緊迫感があるのです。既に医療機関でマスクや防護服が足りなくなっており、ニュースをみているかぎりひっ迫感は半端じゃありません。まさか、世界一豊かなはずのアメリカで基本的な医療備品が足りなくなる日が来るなんて思ってもいませんでした。

これが通常の政権なら、大統領を筆頭に連邦政府が権限を行使して医療物資を調達し、州を援護するはずです。が、今はトランプ政権です。医療備品や人工呼吸器の調達を州から依頼されたトランプは「備品調達は州の仕事、俺の責任じゃない」と言い放ちました。今、コロナウイルス感染がアウトブレイクしているのはニューヨーク州を筆頭にカリフォルニア州、ワシントン州で、いずれも筋金入りのブルーステート、つまり民主党鉄板の地盤でトランプと共和党にとっては敵陣。ことにトランプは自分につれないニューヨークに対して可愛さ余って憎さ百倍の逆切れの思いを抱えています。役に立たないどころか、嫌がらせとしか思えない言動出まくり。この非常時に、本来なら協力すべき連邦政府と州政府がつばぜり合いを続けているというなんとも暗たんたる状況です、

ニューヨークがひっ迫してくる中、今、私は日本がますます心配です。トランプとはタイプは違いますが、トップの頼りなさでは日本も負けていません。公表している感染者数こそ少ないものの、テスト率が世界でも突出して少なく、感染状況すら判然としないので、アメリカにいては何が起こっているのはまるでわかりません。でも、このまますむとはどうしても思えないのです。私の想像がはずれてほしいけど。感染対策にはまずテストで感染状況を知ることが一番大切というのが世界的な常識になっている中で、「テストをして陽性がわかると軽症の患者を隔離病棟に入れなければならないので、重症患者を受け入れるキャパシティがなくなるので、検査をしない」って本末転倒な理論がまかり通っているようで唖然としてしまいます。軽症患者は自宅隔離にしなければ対応しきれないのはどこの国の状況を見ても明らかだし、感染状況がわからなければ手のうちようもないはずなのに。はたから見れば患者数を増やしたくないがために検査をしないとしか思えません。このつけが、いつか急激に回ってくるのが心配です。どこかで思い切ってロックダウンをしなくて本当に大丈夫なんでしょうか。せめて満員電車だけでもなんとかしないと。

日本ではビジネスを全面シャットダウンすると、感染防止効果よりも経済的リスクのほうが大きいという意見もあるようですが、それは違うと思います。私がそう考える根拠はただ一つ。アメリカがやっているから。アメリカは「お金」が宗教だといっていいような国です。そのアメリカが次々と広範囲のビジネスをシャットダウンしているということは、そうしないとさらに大きな損失があると踏んでいるからだと思います。アメリカを動かしているのは人道主義より損得勘定。通常のインフルエンザよりちょっと怖いくらいのものに過剰反応して、明らかに大きな経済的損失を招くなんていうことはちょっと考えられません。

いずれにしても、今ニューヨークでコロナウイルスに感染して重症化したら、相当こわい状況であることは間違いありません。テクニカリーに高齢者所帯である我が家でできる対策は、当分おとなしくひきこもることくらいです。

 

 

 

アメリカのパニック買い

 

毎年、吹雪の予報が出るたびにスーパーは激込みになり、シェルフから牛乳が消えるっていうのが冬場のお約束なんですが、今回の新型コロナのパニック買いはちょっと様子がちがいました。トイレットペーパーやペーパータオル、ハンドサニタイザーが消えたっていうのは日本と同じなんですが、ちょっと違うのは食品。

吹雪きの時とちがって牛乳はあった。が、まずチキンが消えた。IMG_3701

特にチキン胸肉。コストコにもスーパーにもない。アメリカ人にとっては冷蔵庫にあると一番安心なのがチキンらしい。まあたしかにうちでもチキンはいつもあるけど。

日本では米が消えたらしいですが、こちらでは、小麦粉と乾燥豆が消えました。米とちがってどっちもふだんはほとんど買う人のいないアイテムなんですよ。家でパンやケーキを焼く人なんか少数派だし、豆だって缶詰を使う日が圧倒的に多い。パン用の強力粉なんか、一番下の取りにくいシェルフにおいてあるくらいで、いついったってないはずはないんですが、きれいにシェルフが空になってました。パンも品薄ではあったんですが、ないわけじゃない。

このあたりに、今回の新型コロナのパニックの深刻さが感じられます。スーパーはこのままあいてるし、食品が流通しなくなるわけではないので、多くの小麦粉と乾燥豆は各家庭のパントリーでビンテージ物となるのではないかと思われます。食品の無駄だよね、とは思いますが、もし、買った人がみな、家でパンを焼いたり、豆を煮たりする事態になること想像するほうがおそろしいです。

「気になる英語あれやこれや」第1回 『ハルメク』2016年5月号掲載

50代からの女性誌『ハルメク』に2016年から連載中のコラム「気になる英語あれやこれや」が3年目に突入しました。そこで、このブログでバックナンバーのコラムを第1回から順次掲載していきます。2年前の記事になるので、ちょっと話題が古かったりもしますが、アメリカの暮らしや文化のおもしろいところは今も変わりません。以下に掲載するのはアメリカでコンマリがブームになっていたちょうど2年前のものです。
ちなみに最新号2018年5月号掲載の「気になる英語あれやこれや」は「Just Don’t Call Me “Grandma” /「おばあちゃん」なんて呼ばないで」です。このコラムの最新版は『ハルメク』をご購読ください。(ウエブサイト:https://magazine.halmek.co.jp/ )

A Closet’s Loss, a Consignor’s Gain
クローゼットはすっきり、リサイクルショップは繁盛

日本が誇る片づけの女王、近藤麻理恵著『人生がときめく片づけの魔法』はアメリカでも「The life-changing magic of tidying up」として発売され、瞬く間にベストセラーとなりました。ニューヨーク・タイムズ紙にも、去年はコンマリ本の影響でニューヨークのconsignment shop(中古品委託販売店)に持ち込まれる中古品が増えた(「The Marie Kondo Effect: A Closet’s Loss, a Consignor’s Gain」)と報じられていました。広い家に住んでいるアメリカ人にも片づけは悩みの種で、declutter(片づけ)やorganizing(整理整頓)でグーグル検索すれば、アドバイスやら体験ブログやらが山のように出てきます。

アメリカの片づけ問題の落とし穴は、実はその家の広さにあります。アメリカの家の収納力は半端じゃありません。そして、収納力がある家ほど片づけの闇は深い。アメリカの家には往々にして屋根裏部屋や地下があります。生活空間の2倍の面積の押入れがあるようなものです。コンマリメソッドを実践しようにも、すべてのものを引っ張り出すのは気が遠くなるような大作業になります。

その屋根裏や地下の埋蔵品にいやでも向き合わなければならないのが引っ越しです。国勢調査によると、アメリカ人は一生のうちに平均11.7回引っ越しをするそうです。これだけ引っ越しすれば、そのたびにものが減りそうなものですが、人生の前半は家族が増えるに従って家も大きくなっていくので、そううまくはいきません。チャンスは子どもが大学生になって家から出ていく時です。

同居する子供がいなくなった親をempty nester(からの巣の住人)といい、エンプティネスターの多くは、無駄な出費を省くために子育てをした巣をたたんで、夫婦だけ、あるいは自分だけのための小さい家やアパートに引っ越します。家のダウンサイズは経済的な必要性が一番の理由ですが、第2の人生をスタートするための片づけとしても有効です。

2014年にヒットした映画「6才のボクが、大人になるまで。」(原題「boyhood」)で、母親が大学生になって家を出て行く子どもたちに、本当に大切なものだけ持って行って後は処分するようにと告げる場面があります。親の家に居場所がなくなることに子供たちはショックを受けますが、長い目で見れば、中年になってから実家を整理しなければならなくなるより、よほど本人のためです。

もっとも実際はアメリカにも、そうきっぱりと告げられる親は多くはありません。ボロボロのバービーや機関車トーマスにときめいてしまうのは、やっぱり親の方なのです。
『ハルメク』2016年5月号掲載(見出しの英語はNew York Timesから)

猫指人形

2010年9月7日

猫指人形

 猫っていうのは抜け毛がすごいもんですが、とくにうちのおボーはちょっと触っただけでも毛がフワフワと舞うほどすごい。おスモーはそんなことはないのになぜなんでしょうか。ブラッシングしてもおスモーの5倍くらいの毛が抜けます。
 で、あんまりすごい量が抜けるので抜け毛を丸めて玉にしたりしてたのですが、ネットで猫毛で作るフェルト指人形というのを見つけて真似してみました。2,3日分のブラッシングの抜け毛で1体分くらいできると書いてありましたが、おボーの抜け毛だと1回分で余るほどです。1時間くらいであっという間にできます。
 結構かわいくできたなあ、と自画自賛してたのですが、チャールズと娘の反応は「何、それ? 気持ちわるーい」というものでした。遊びに来た日本人の友達の最初の反応は「可愛い」だったのですが、どうもアメリカ人には受けないようです。猫の抜け毛っていうのが気持ち悪いんだそうです。フェルト化するために作る過程でウール用洗剤で洗ってあるからきれいなんですが、そういう問題ではないんだそうです。なぜ羊の毛はよくて猫の毛はだめなんだ?

 

おスモーさんプチ家出

2010年6月11日
2010年6月11日
 
家のグレー猫、おスモーがデッキに出る網戸を開けているのではないか、という疑惑が浮上したのは2週間前のことです。娘が外から帰ってきたら、外には出さないはずのおスモーがデッキで和んでいた、というのです。デッキに出る引き戸の網戸は10センチ足らずのちょうど猫の頭が通るくらい開いていたといいます。
家には外出禁止にしている猫が2匹いますからドアの開け閉めには全員がかなり気をつけているので開けっ放しにするはずはありません。が、家のデッキに出る引き戸は大変たてつけが悪い、というか老化してます(新しくすると2000ドル近い出費となるのでもう2年越しでほったらかし)。開け閉めに力がいる上に、網戸は特にゆがみが出て慎重にしめないと下にわずかな隙間ができます。そこで、おスモーがそのわずかな隙間に手をつっこんで開けたのではないかと思われているわけです。しかしその現場を見たものはないし、たてつけが悪い網戸で、そうスムーズに開くわけでもないので半信半疑でした。
そして、今日、チャールズがおボーがデッキにボケッと立っているのを発見。チャールズが名前をよぶと本人もいけないことがわかっているらしく、あわてて中に戻ってきました。ところがおスモーの姿が見えない。あわててあちこち探してみましたが、家の中にはいない。もう一度デッキに出てみると、ちょうどおスモーがデッキに戻ってくるところでした。いったいどこまで行っていたものか。
 これでもうおスモーが網戸を開けられることは確実となりました。ふすまや障子を開ける猫は珍しくない、閉めるようになると化けて出るといいますが、それにしてもなあ。
 実は、2週間前の脱走未遂事件があったので、今日獣医に予防接種に連れて行ったところでした。本当は半年前にいかなければいけなかったのですが、完全な家猫ですから感染の危険もあるまいと思って放ってあったのです。が、こうなると狂犬病の野生動物がそのへんにいてもおかしくない土地柄ですから(アメリカでは狂犬病の野生動物は珍しくない)、私たちが日本に帰国してる間にでも外に出てしまったりしては大変なので、慌てて予防接種に行きました。そのとたんに、この脱走。
 もちろん2匹ともキャリアーも車も、獣医さんも大嫌い。まずキャリアーに入れるのが一仕事です。無理やりキャリアーに詰め込まれて獣医さんで注射をされたので今日はおスモーは大変ご機嫌ななめでした。(おボーはおバカなのでこういうこともすぐ忘れるらしい)。それでプチ家出になったのかもしれません。予防接種に2匹で180ドル近くかかってるのに、まったく人の気も知らないで。
 この夏は、リビングルームに誰もいない時は引き戸をあけられなくなりました。ニューヨーク郊外は真夏でも朝晩は結構涼しいので網戸にしておけば冷房なしでも過ごせるのですが、これからは戸をしめっきり、冷房かけっぱなしになります。そうすると、また電気代が…
 どうしてこうお金のかかることばっかりおこるかなあ。

春風邪

4/14/2010
 春だっていうのに風邪をひいてしまい、絶不調。喉は痛い、咳が止まらない、鼻がつまる、だるい、関節が痛い。最低です。これで一気に高熱でも出ればあきらめもつくんですが、ずるずると鬱陶しく続く症状にはうんざりします。ここ数年の風邪はこのパターンが多い。娘が風邪をひくと突然高熱が出て、突然回復する(ように見える)のですが、更年期になると、そういうメリハリのある風邪をひくエネルギーがないらしい。
 仕事もともかく、春は琴パフォーマンスシーズンで、練習もしなきゃいけないのに、何も手がつきません。今週は師匠のおともでコロンビア大学の桜祭り演奏が週末にあるのですが、全然練習が間に合ってません。その上、最近関節炎で親指が痛い。半年くらい前から右手の第一関節が痛いなあ、と思っていたのですが、今年の定期健診で典型的な老化による関節炎と言われました。つまり、治らない。使えば使うほど悪くなる。お琴の練習もあんまりしちゃいけないわけです。ちょっと根を詰めて稽古するとすぐに痛くなります。若いうちは何事につけ練習はすればするほどよろしい、というものだったんですが、歳をとると減りを計算しつつ小出しにしてかないといけないんですね。
 4年前に17弦(ベース琴)を始めたのは、こういう重量級の楽器はいつまで自分の手でかつげるかどうかわからないから体力のあるうちにという理由だったのですが、楽器の運搬の前に指に来るとは。私はアマチュアプレーヤーだから弾けなくなったところで生活に支障はないですが、プロのミュージシャンたちは関節炎とはどうやって折り合っているんでしょうね

大変な日

2/1/2010
年が明けてちょっと暇だったと思ったら、月末になってとてつもなく仕事が増え、とにかく仕事をいただいた時が稼ぎ時のフリーランスですから、今週末はお休みもなく昼夜もなく、眠気が極限にいたるまでみっちりと働いて寝て、目が覚めたらお仕事というパターンです。
とにかく締め切りに間に合いそうなめどもついて(全然終わっちゃいないが)一安心で寝たのが土曜深夜。今日はゆっくり寝ようとまどろんでいた日曜の朝8時半頃、朝が弱いことにかけては誰にも負けない(自称低血圧の)チャールズがむっくり起き上がって、90%寝ている顔でトイレに行った。再びまどろんでいると、バスルームからタンスを2階から落としたようなものすごい音。バスルームには倒れるものなんてないはずなのに、と寝ぼけまなこのまま、様子を見に行ったら、チャールズがバスルームの床にまっすぐに伸びていました。
まったく血の気のない顔で頭の下には血がどんどん水たまりのように広がっています。目は開いていて意識はあるようなのに、「大丈夫?」ときいても答えない。呼吸はしているようだからハートアタックではあるまいし、ストロークのようにも見えないけど、それならなぜこんなに反応が鈍い?それにしても頭からの出血もすごいので、救急車を呼びました。
気が転倒している上に起きぬけで頭が回らない。チャールズもパジャマですが、私なんか2日間は確実に着替えてないユニクロのヒートテックの下着1枚だ。これじゃ救急隊がきても困るのであわててタンスの一番上のものを着込む。救急隊が来るまでにドアを開けておこうと寝室からでると、なんと猫たちがクローゼットのドアを自分たちで開けて(どうやって開けたのかは不明)キャットフードの袋を破いて盗み食いをしている最中。そこら中カリカリだらけ。どうして今日?どうして今?とにかくキャットフードを猫皿に少しあけて、袋をまるめて手近の別のクローゼットにしまいこむ。
救急隊員が来たころにはチャールズの意識もだいぶはっきりしてきて、まともに受け答えをしているようで、どうやらとんでもないことではなさそうだ、とは思いましたが、相変わらず顔は血の気ゼロ。
ストレッチャーでチャールズが運びだされるところに運悪く帰ってきたのが、ゆうべお友達の家にお泊りしていた娘。友達の車で送ってもらったら、家の前に救急車やらパトカーやらがワサワサいるんだからそりゃあパニくります。このあたりは消防も救急もボランティアの消防団なので、救急隊員も招集がかかるとそれぞれの家から来るらしく救急のマーク付きの車が4台も5台も並ぶことになるのです。良く見れば、患者搬送用の本物の救急車は1台なんですが。で、なぜかわからないけどおまわりさんも来ました。救急車が呼ばれるともれなく付いてくるらしい。全然必要ないけど。
チャールズはエマージェンシールームのある病院に搬送され、私はそれを自分の車で追います。救急車というのは片道サービスですから一緒に乗ってしまうと帰れなくなるからです。追うといったってこちらは信号でもちゃんと停止する一般車ですから遅れて着くことになります。
病院のエマージェンシールームでは、チャールズもすっかり意識が戻っていて、顔色にも血の気が戻っていました。結局、倒れたのは急激に血圧が下がったため、俗に貧血(鉄分不足じゃなくて)といわれるものだろうという診断でした。その原因のフォローアップは必要だけど、とりあえずの心配はなかろうと午後には帰ってきました。
思ったよりもひどかったのは頭の傷で、エマージェンシールームでも出血が止まらず、8針のホチキスどめ。それだけ強く頭を打っているわけですから、その影響は心配ですが、とりあえずは一安心です。
このあとは保険屋と病院との請求書と支払いのめんどくさいやりとりがあるわけですが、まあそれは本人がやることだし。
それにしても、チャールズが1人で暮らしてなくて本当に良かった。
で、家に帰ると家の中はすごい状態。ストレッチャーを階段から2階に通すために色んなものが動かされ、なんだか引越しの後みたい。その上、少し前に雪が降ったので外には凍結止めの塩がみっちりまかれていて、それをみんなが靴につけて持ち込む。パラメディックスタッフはもちろん靴なんて脱ぎませんから、それはもう悲惨なことに。
よし、気合を入れて掃除だっ、と掃除を始めたら、リビングルームのカウチに猫の大ゲロ発見。新しいクッションにも出しっぱなしだったひざ掛けにもびっちりと。どうして今日?
カウチのスリップカバーもクッションのカバーもみんなはがして洗濯だ。
バスルームのそうじは意外に楽でした(タイルだし)。タイルの目地の血はどうしてもシミになってしまいますが、そのうちに色もあせるだろう。
トイレで失神するっていうのは、排尿によって血圧が下がるのでよくあることなんだそうですが、日本のトイレなら壁に囲まれてますから倒れたところでそう大怪我はしないでしょうが、こちらのバスルームはバスタブやシャワーが一緒ですから、倒れたら本当に危ない。床直撃も怖いですが、バスタブのフチやシャワーのガラスドアも相当危険。おきぬけのトイレは気をつけよう。
 

冷蔵庫の続き

12/22/2009
 昨日の夕方にインターネットで申し込んだ修理。今日の午前8時~正午のセットアップで、どうせ昼ごろになっても現われないんだろうなあ、と思っていたら、8時に電話があって9時に到着。シアーズの修理サービス、なかなか優秀です。もっとも時間通りに到着しただけで感動するっていうことがかなりアメリカン。
 でっぷりした昔ながらの修理屋さんという感じのおじさんで「壊れた冷蔵庫ってなおせるもんなの?」ときくと「何だってなおせばなおる」と言われました。そりゃそうです。要は費用の問題です。
 「まだそんなに古いわけじゃないのに」と言うと、「昔と違って今は買ったばっかりの冷蔵庫だって壊れるときには壊れる」そうです。
 冷気を送るファンのモーターが壊れてるということで、「もともとGEが使ってるこのモーターはよくないんだ。」って、おいGE、もうGMと同じ道だな。モーターをとりかえて1時間もかからずに修理終了。とりあえず、クリスマスと新年に冷蔵庫なしという事態は避けられました。
 が、修理のお値段はパーツ込みで310ドル。300ドルあったら何ができただろう、日本の温泉宿の上等なところに1泊できるなあ、とかつい考えてしまい、むなしい。

大雪と冷蔵庫

12/20/2009
 10日あまりの日本滞在は夢のように過ぎ去って、一昨日からニューヨーク。東京滞在中もこちらでは大寒波がきたらしいのですが、いきなり朝から零下5度の寒さ。そして今日は夕方から大雪の予報。大吹雪で40センチくらいつもるらしい。
 そんなときに昼頃から冷蔵庫が全然冷えてないことが発覚。設定温度を低くしてみれば、よみがえるんじゃないかと(前にも一度そんなことがあった)気づかないふりをしてみましたが、夕方ごろには冷蔵庫のバターがやわらかくなり、故障を認めざるをえなくなりました。
 ここに6年前に引っ越してきて1年目に冷蔵庫が壊れ、買い換えたばかりですから、まだ5年ほどしかたっていません。だいたい日本じゃ、よほど年代物でないかぎり冷蔵庫が壊れて冷えなくなったなんて話をきいたことがありません。さすがアメリカ製GEです。雑な仕事をしてくれるじゃないか。
 日本の温度調節機能のついた引き出し式冷蔵庫のよさをしみじみ感じてきたばかりなので、よけい腹が立つ。ちなみに、日本じゃずいぶん前から常識になってる温度別に分かれた引き出し式の冷蔵庫はこちらには存在しません。せいぜいが冷凍庫が引き出しになっているモデルがあるくらいです。うちのがそれですが、その引き出しも使いにくいこと使いにくいこと。だいたいアメリカの台所製品は見た目以外はまったく何も考えられていません。台所製品というよりキッチンのデザインそのものがそうなんですが、ともかく機能無視はなはだしい。見た目だけはあらゆるチョイスがあるんですけどね。つまり、見せるためのキッチンであって使うためのキッチンではないからです。
 が、私のキッチンはフル稼働してるキッチンなので冷蔵庫の故障はものすごいストレスになります。冬なのが幸いといえば幸いで、ここ2、3日は昼間も零下ですから、屋外は巨大な冷凍庫みたいなもんです。が、問題は壊れたのは冷蔵庫部分だということです。冷凍庫は通常に機能しています(と思う)。
 冷蔵が必要な食品はそのまま外に出しておいては絶対凍るので、クーラーボックスや冷凍宅配の発泡スチロールの箱につめて玄関先に出しておきました。これでも今晩は凍るかもしれませんが、まあ仕方がありません。もう一つの不安はラクーン。ラスカル君たちです。あいつらは鋭い歯で丈夫なプラスチック製のごみ箱も食い破るので、目をつけられたら発泡スチロールなんてひとたまりもありません。そうなると、あとの掃除もえらい騒ぎ。ひたすら無事を祈るのみ。
 週末はどこに電話してもお休みなので修理の手配は月曜日ですが、これがまたもうアメリカならではのスペシャルサービスが期待されるので、新たなストレス間違いなし。

お引越し

11/23/2009
 チャールズがうちに引越してきました。これまでも年中うちに来ていたし、娘が大学に行ったら、一緒に住むという話はしていたのですが、いろいろと事情があって予定を早めることになりました。
 引越しするのは私ではないのですが、引っ越されてくる方もなかなか大変で、ワンルームのアパートのどこにこんなにたくさんの物がと思うほどの荷物をなんとか詰め込まなければなりません。西洋の暮らしは最低限の家具が多い。ベッドにチェスト、テーブルに椅子、肘掛椅子にファイルキャビネット、と大物だけでも結構あるのに、パソコンを直したり、テックサポートをしたりするのが仕事なのでわけのわからんパーツだのコードに加え、CDその他の付属品がえらいボリューム。
 すっかり忘れていたのですが男というのは、どうしてこう物をためこむのでしょう。たとえばLPのレコードがクレイツにびっしり4箱分。1箱だけでも私には持ち上げられない重さ。彼のアパートには一応プレーヤーもあり、つないであったのですが、使われているのを見たことがない。「めんどくさいから」だそうです。「捨てれば」というと「息子にあげられるかもしれないし」って。欲しがるわけないっての。
 ほこりだらけのビデオカメラ。「高かったのにすぐ壊れた」そうです。「捨てれば」というと「もう一度ほんとに壊れたことをじっくり確認してから」って、何年も前に壊れたもんが、どうして直るんだ?だいいち今時テープでビデオなんか撮らないだろっての。
 2年以上前に契約終了した携帯プロバイダーの携帯電話。「捨てれば」というと、「だって全然壊れてないんだよ」って何に使うんだよ!「君のキャリアのだよ」って、要るか、そんなもん。
 パソコンいじりが商売だからか機械ものやパーツを捨てたがらない。彼のアパートのデスクのまわりには、お客さんがもう要らないといったラップトップやデスクトップの亡骸が累々と重なりあっていたのですが、「ハードディスクだけでも取り出せば、それだけ使える」とか「無線のデバイスはまだ使えるから」とかで、すべてお引越ししてきました。
 で、まあ、こういう細々したものはそれぞれの車で往復して運んだのですが、ベッドや肘掛椅子といった大物はさすがに私のステーションワゴンでも入らない。が、引越し屋を雇うほどの引越しではない。ということでユーホールのバンをレンタルすることにしました。それにしても重い家具全部を私とチャールズの2人で運ぶのは不可能ではないにせよ、かなり厳しい。
 チャールズは隣の街で日雇い労働者を雇ってくるといいます。このあたりのナーサリー(植木屋)やコントラクターはそこで日雇いを毎日雇っているという話はよくききますが、私らはド素人です。いくらなんでも見ず知らずの日雇い労働者を車に乗せて連れてくるなんて無謀じゃないかと思ったのですが、チャールズは僕は前にも雇ったことがあるし、元妻は今もときどき雇っている、というのです。チャールズは何年も前に雇った時と同じように街角のたまり場から拾ってくるつもりだったらしいのですが、元妻情報で今はオフィシャルな雇い場があるということを知り、そこに行ってみることになりました。
 街外れの何にもないところを教えられたとおりに走っていくと看板がありました。「Day Laborer Hiring」(日雇い労働者雇用センターってところでしょうか)。Illegal Laborer Hiring (不法労働者雇用)とは書いてありませんが、不法労働であることが明らかなのを、こんなに公にサポートしちゃっていいんだろうかと思いますが、おそらく不法労働者が街角にたむろするのを避けるためにこういうことになったのでしょう。
 さて、ドアを開けると部屋の中に不法労働者とおぼしき男たちがたくさんいます。真ん中には食事も用意されていて、無料なのか有料なのかはわかりませんが、朝からそこにいて仕事が来るのを待っている様子。
 まず、受付係に仕事内容と時間、報酬、必要な人数をきかれます。「引越しの荷物運びに2名、3時間、1時間当たり15ドル」と言うと、この受付係のおじさんがみんなに向かってスペイン語でその内容を繰り返します(私には意味がわからないけどそうだと思う)。受付のテーブルにはピンポン玉が入った大きなボトルがあり、それをグルグルまわして(福引みたいに)転がり出た玉に書いてある番号を読み上げます。そして、ちょっとしたやりとりがあって2人が選ばれました。やりとりはすべてスペイン語なので、内容はわかりませんが、なんだか時代劇でも見ているような不思議な感じでした。私たちがドアを開けてから、ここまでものの1分とかからず、こちらの名前も連絡先もなにもいっさいきかれません。書類もいっさいありません。
 で、その2人を私の車に乗せて、チャールズはレンタルしたバンを運転して引越し現場へ。私たちが雇った2人は2人ともガテマラから来たそうで、40がらみのおじさんと若い男の子。若い子は片言の英語を話しますが、おじさんの方は英語はほとんどわからないようでした。でも、2人とも黙々ととてもよく働いてくれました。
 レンタカー代も含めて引越し費用は200ドル以下。大変安上がりに済んだ引越し。これまでも、引越しでなくとも家具を動かすとか、お金を払っても人手を借りたいと思ったことは何度もあったので、これまで知らなかったのが残念。宣伝するわけにもいかないのでしょうが、改めてアメリカでの不法労働者のあり方を考えさせられてしまいました。