「気になる英語あれやこれや」第1回 『ハルメク』2016年5月号掲載

50代からの女性誌『ハルメク』に2016年から連載中のコラム「気になる英語あれやこれや」が3年目に突入しました。そこで、このブログでバックナンバーのコラムを第1回から順次掲載していきます。2年前の記事になるので、ちょっと話題が古かったりもしますが、アメリカの暮らしや文化のおもしろいところは今も変わりません。以下に掲載するのはアメリカでコンマリがブームになっていたちょうど2年前のものです。
ちなみに最新号2018年5月号掲載の「気になる英語あれやこれや」は「Just Don’t Call Me “Grandma” /「おばあちゃん」なんて呼ばないで」です。このコラムの最新版は『ハルメク』をご購読ください。(ウエブサイト:https://magazine.halmek.co.jp/ )

A Closet’s Loss, a Consignor’s Gain
クローゼットはすっきり、リサイクルショップは繁盛

日本が誇る片づけの女王、近藤麻理恵著『人生がときめく片づけの魔法』はアメリカでも「The life-changing magic of tidying up」として発売され、瞬く間にベストセラーとなりました。ニューヨーク・タイムズ紙にも、去年はコンマリ本の影響でニューヨークのconsignment shop(中古品委託販売店)に持ち込まれる中古品が増えた(「The Marie Kondo Effect: A Closet’s Loss, a Consignor’s Gain」)と報じられていました。広い家に住んでいるアメリカ人にも片づけは悩みの種で、declutter(片づけ)やorganizing(整理整頓)でグーグル検索すれば、アドバイスやら体験ブログやらが山のように出てきます。

アメリカの片づけ問題の落とし穴は、実はその家の広さにあります。アメリカの家の収納力は半端じゃありません。そして、収納力がある家ほど片づけの闇は深い。アメリカの家には往々にして屋根裏部屋や地下があります。生活空間の2倍の面積の押入れがあるようなものです。コンマリメソッドを実践しようにも、すべてのものを引っ張り出すのは気が遠くなるような大作業になります。

その屋根裏や地下の埋蔵品にいやでも向き合わなければならないのが引っ越しです。国勢調査によると、アメリカ人は一生のうちに平均11.7回引っ越しをするそうです。これだけ引っ越しすれば、そのたびにものが減りそうなものですが、人生の前半は家族が増えるに従って家も大きくなっていくので、そううまくはいきません。チャンスは子どもが大学生になって家から出ていく時です。

同居する子供がいなくなった親をempty nester(からの巣の住人)といい、エンプティネスターの多くは、無駄な出費を省くために子育てをした巣をたたんで、夫婦だけ、あるいは自分だけのための小さい家やアパートに引っ越します。家のダウンサイズは経済的な必要性が一番の理由ですが、第2の人生をスタートするための片づけとしても有効です。

2014年にヒットした映画「6才のボクが、大人になるまで。」(原題「boyhood」)で、母親が大学生になって家を出て行く子どもたちに、本当に大切なものだけ持って行って後は処分するようにと告げる場面があります。親の家に居場所がなくなることに子供たちはショックを受けますが、長い目で見れば、中年になってから実家を整理しなければならなくなるより、よほど本人のためです。

もっとも実際はアメリカにも、そうきっぱりと告げられる親は多くはありません。ボロボロのバービーや機関車トーマスにときめいてしまうのは、やっぱり親の方なのです。
『ハルメク』2016年5月号掲載(見出しの英語はNew York Timesから)

広告

投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中