トランプ大統領2「トランプに投票したのは誰だ?」

トランプに投票した人たちの出口調査の分析やインタビューが続々と報道され出したので、前回の「悪夢はなぜ起こったのか」の補足です。「これから何が起こるのか」は次に先送りします。

トランプ支持者のデモグラフィックを見ると一番顕著なのが人種と性別です。トランプ支持者の中心は高卒以下のブルーカラー白人男性と言われていましたが、学歴や社会的地位を除いた白人全体でも58%がトランプ支持(ヒラリーは37%)なのです。他の人種ではすべてヒラリーが圧勝なのに白人だけがトランプ支持が突出しています。

_92349609_us_elections_2016_exit_polls_gender_624

男性はトランプ支持、女性はヒラリー支持という男女差は刷り込み済みですが、多くの人を驚かせたのは白人女性に限ると53%がトランプに投票していたことです。対するヒラリーへの投票は43%です(その他もあるので100%にはならない)。学歴を高卒以下にかぎると62%がトランプ支持。大卒以上ではヒラリー支持が上回りますが、51%と約半数で、わずかな差しかありません。女性全体のヒラリー支持が高くなっているのは、マイノリティの女性が圧倒的にヒラリー支持だからです。

トランプがマイノリティに弱いというのはずっと指摘されていましたが、マイノリティに強いはずのヒラリーはオバマほどにはマイノリティをとれませんでした。ラティーノが激増する中、マイノリティなしでは選挙に勝てないというのがヒラリー当確予想のよりどころでもあったのですが、マイノリティは少数だからマイノリティなのです。

ft_16-01-26_eligiblevoterchange

将来はともかく2016年時点で投票権を持つ総人数277,778,000人中、白人は156,084,000と圧倒的マジョリティを占めているので、白人を制した候補がまだ圧倒的に強いという当然の結果です。

大統領選ウォッチ16で紹介した「もし女だけが投票したら」(上)「もし男だけが投票したら}(中)というシミュレーション・マップと比べると、実際の選挙結果(下)が「もし男だけが投票したら」に近い形になっています。つまりトランプは予想を上回る女性票をとったわけです。

silver-electionupdate-womenvoted

silver-electionupdate-menvoted
president

 

予想外のトランプ勝利は、この白人女性票によるものが大きいと指摘されています。しかし、トランプ大統領誕生に絶望しているクリントンに投票した女性たちには白人男性はともかく同じ女性がトランプに投票するなんて到底信じられません。なんていうことをしてくれたんだという怒りの声もあちこちにポストされています。この選挙は人種や宗教だけでなく女性の分断も表面化させました。
トランプサポーターの女性というと低学歴定所得と思いがちですが、大卒の白人女性も半数近くがトランプに投票しているわけで、決して低学歴低所得者層だけでトランプが勝ったわけではありません。むしろ逆です。

投票者全体の内訳を年収別でみると、世帯年収5万ドル以下では圧倒的にヒラリーが強く、それ以上の年収でトランプが勝っています。中でも一番差をつけているのは一番のボリュームゾーンである年収5万ドル以上10万ドル以下(約500万~1千万円)の中間所得層です。

by-income-clinton-led-only-among-voters-with-a-2015-family-income-under-50000--a-group-that-included-36-of-the-voters-in-the-exit-polls.png

つまりトランプに投票したのはトランプに騙された無教養な貧乏人ばかりではないということです。むしろ本当の貧乏人は正しい選択をしているわけです。年収20万ドル以上の上位5%の高額所得者がトランプを支持するのは理論的に理解できます。トランプは富裕層の減税や相続税の廃止といった金持ち優遇政策を公約しているし、口では貧乏人の味方なんていったって、実は金持ちクラブのお友達であることは金持ちには明白だからです。

が、理屈で理解できないのは年収5万ドルから10万ドルという中間層のトランプ支持です。年収五百万から一千万円といったら結構な高収入と思うかもしれませんが、生活費の高いアメリカの郊外や都心部では家族でかつかつで暮らせる収入です。つまりそこそこの学歴もあって今はそこそこの仕事もあるけれど、何かあったらすぐに本格的貧乏に転落してもおかしくない層です。ヒラリーと民主党の政策だと最も経済的な恩恵が大きいはずの収入層なのです。
この中には絶対にヒラリー支持と見込まれていて実はトランプに投票した郊外の白人女性層もいるし、工業地帯で失業の危機にさらされている工場労働者もいるはずです。この人たちがなぜトランプに投票したのかという理由はメジャーなメディアからいろいろな記事が出ています。

トランプが解決できるとは信じているわけではないけれど、これまでオバマも何もしてくれなかったから、何もおこらないのがわかっているよりは少しでも可能性がある方にかける、という切羽つまった理由もあれば、Ivanka Voterのように「こいつらほんとにバカだ」と頭をかかえたくなるような理由もあります。Ivanka Voterとは「イヴァンカのようにクラッシーな娘を育てた」トランプだから投票するというイヴァンカ・ファンの女性層です。Ivanka Voterは比較的裕福な郊外に住む白人女性と言われ、トランプを支持していることを人には言いません。それはトランプに投票するといえば「人種差別主義者」だといわれかねないし、いろいろなお付き合いにひびが入るからです。まさに典型的な隠れトランプ。

最後にもう一つ、無視できないデモグラフィックが年齢層です。メレニアル世代はトランプ嫌いと言われていましたが、出口調査でもその通りの結果が出ました。

_92354218_us_elections_2016_exit_polls_age_624-2

結果は見ての通り。バーニー支持の若者が第三党に投票したり投票に行かなかったのがヒラリーの敗因とも言われていましたが、これを見れば若者に罪はない。たしかに第三党への投票も多いけれどヒラリー支持が圧倒的です。トランプを当選させたのは53%がトランプに投票している45歳以上の中高年です。この代償を支払っていくのが若い世代だということを考えると本当にかわいそうです。

広告

投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中