アメリカ大統領選ウォッチ2

アメリカ大統領選ウォッチ2
コーカスってなんだ?

予備選初戦にあたるアイオワ州のコーカス(caucus/党集会)は、共和党が予想外のテッド・クルーズ勝利、民主党はヒラリーとサンダースがほぼ引き分けとなりました。でも、このコーカスの結果で一番注目すべきなのは共和党でトランプに肉薄して3位につけたマルコ・ルビオ。テッド・クルーズもとんでもぶりではトランプと似たりよったり、胡散臭さではトランプを凌駕していますが、マルコ・ルビオは早くから有力候補として注目されていながら伸び悩んでいた共和党若手。ジェブ・ブッシュがもう救いようもなく沈んだ今となっては、共和党エスタブリッシュメントはこぞってルビオ支持にまわりそうだし、やっぱりね、という結果になりそうな共和党候補。

ルビオが勝つと対する民主党はヒラリーとサンダースのどっちが勝っても苦戦しそう。ヒラリー対トランプまたはクルーズなら、まずヒラリー楽勝。ルビオ対ヒラリーだとヒラリー苦戦の可能性あり。トランプまたはクルーズ対サンダースだと、そこにブルームバーグも加わって三つ巴の大乱戦。ルビオ対サンダースだとルビオの勝ち、というのが大方の予想ではないかと思います。多くの州の予備選が集中する3月のスーパーチューズデーのあたりで出馬するかどうかを決めるらしいブルームバーグですが、ヒラリーかルビオのどちらが勝っても出ないと思います。残念ながら、私の周囲で圧倒的に支持の高いサンダースが勝てる見込みは現実的に考えて薄そう。

それにしても、なんでアメリカの人口の1%にも満たないアイオワ州のコーカス(党集会)がこんなに注目されるのかと不思議に思いませんか。それ以前にだいたいコーカスってなんだよ、と思うのはアメリカ人も一緒で、ニュースでも「コーカス」とは何かという解説を最近よく見かけます。ニューヨークやカリフォルニアにコーカスなんてないからです。

州の独立自治を重んじるアメリカでは、各党の大統領候補を選ぶ予備選挙の方法も各州に任せられています。コーカスというのは党集会と訳されるように、投票者全員が地域の学校だの教会だのに決まった時間に集まって行われるもので、昔は全州がこの方式でした。時代に合わせてプライマリー(primary)とよばれる普通の選挙方式にする州が増え、現在もコーカスをやってる州は少数派(10州)です。その一つがアイオワなわけです。

で、集まって何をするかというと、これは民主党と共和党で違います。共和党のコーカスは会場で手を上げて、どの候補を支持するかを表明します。通常、選挙といえば匿名が常識と思い勝ちですが、コーカスはそれを公にすることがプライマリーとの大きな違いです。

その点、民主党のコーカスはもっとすごい。たとえば、今年ならヒラリー支持者はこっちのコーナー、サンダース支持者はこっちのコーナー、と会場の中で別れます。そして、もし3人以上の候補がいる場合は、15%以上集まらなかった候補は失格になるので、その支持者は改めて15%以上集めている候補者を選ばなければなりません。そこで30分かけて、それぞれの支持グループが「こっちにおいで」と説得するんだそうです。

この方式って夫婦やご近所で別の候補を支持したら、険悪なことになるんじゃないか、あるいは、そのために妥協しちゃう人がいるんじゃないか、と心配になりますが、ともかくこれが伝統的な方式であるということで許されるらしい。こうして何世紀も前のシステムにこだわっているところが、アメリカらしい頑固さでもあります。

さて、こうやってコーカスやプライマリーで選んでいるのは、実は大統領候補ではありません。大統領候補に投票するデリゲート(delegate 選挙人)を選んでいます。そのデリゲートは誰に投票するかが予め決まっているので形式だけの間接選挙ですが、選挙結果には得票率とともにデリゲートの人数も表示されます。コーカスやプライマリーの結果からデリゲートの人数を決定する方法も、州と党によって異なり、もうこのへんは誰も理解しようともしません。複雑すぎて。

で、アイオワ州のコーカスがなぜ一番最初になったかというと、これは偶然の産物。アイオワ州というのは特に複雑なシステムでデリゲートを選んでいて、コーカスで選ぶのは実は地域の代表、その地域の代表が郡の代表を選ぶというふうに、州党大会でデリゲートを選ぶまで4段階の手順を踏むことになっています。もともとは適当にその日程を決めていたのですが、1968年に集会は30日以上前に告知をしてからというルールができました。そこで、それを各ステップに適応して、最終的な州党大会のある日から逆算することになりました。が、その年、たまたま州党大会を予定していた週末に開催都市のデモインでホテルの空き部屋がなかった。そこで、州党大会を早めた結果、将棋倒しでコーカスが例年よりもずっと早くなってしまったのです。

実はその時点ではアイオワ州の人たちも、それがどういうことなのか気づいていなかった。注目されたのは1976年の大統領選挙でジミー・カーターが最初のコーカスということで力を入れてから。注目をあびるということがわかったところで、アイオワ州は「どこよりも早くコーカスをやる」という州法を作ってしまいました。そこにすかさず「どこよりも早くプライマリーをやる」という州法を作ったのがニューハンプシャー州です。こうして、予備選はアイオワ、ニューハンプシャーからというのが言ったもの勝ちで決まってしまったのです。まあ、これもアメリカらしいっていえばらしいですが。
というわけで、来週はニューハンプシャー州のプライマリーです。

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投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

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