結婚式の王道(その2:結婚式)

2010年8月17日
 ちょっと間があいてしまいましたが、王道結婚式の続きです。
 アメリカ人は質実剛健で日本のように華美な冠婚葬祭はしない、とか合理主義なので持ち寄りや会費制が普通、といった誤解もあるようですが、葬式はともかくアメリカ人の結婚式の金のかけかたといったら日本の比ではありません。そして、会費制というのはまずあり得ません。
 お祝いのお金(小切手)はカードにはさんで渡す人もいれば渡さない人もいます。基本的には結婚式の招待状が発送された時点(1年から半年前)からウェディングレジストリー(デパートやショップのウエブサイトに新婚夫婦が欲しいものを登録しておき、その中からゲストが予算に合ったプレゼントを選んで贈る)でギフトを贈ってあるので、それでおしまい。友人が一人3万円包むなんてことはまずあり得ません。
 結婚式費用は伝統的には花嫁側がほぼ全額負担なのだそうです。最近は折半ということも多いようですが、花嫁側の負担が多いのが普通のようです。ご祝儀で回収できる分というのはほとんどないので、花嫁側にとって結婚式は結構な出費になります。
 さて、午後4時からの結婚式はどピーカンですごい暑さ。要ジャケットではない、と言われていましたが、それでも大半の男性はスーツなので見ているだけで暑苦しい。ジャケットを脱ぐと皆まるで水をかぶったようにシャツが汗びっしょりになっているのでよけい暑苦しい。こんな暑い真夏になにも外で結婚式をやらなくてもと思いますが、アメリカでは真冬を除いて屋外結婚式が圧倒的に人気です。先日行われたクリントンの娘の結婚式もそうでした。
 たしかにそれなりに風情はあります。写真では今ひとつよくわかりませんが、素晴らしい見晴らしのファームで、ピクチャーパーフェクトな設定です。木枠みたいなのが祭壇に見立てられます。音楽は、屋外の結婚式ではほぼ確実にライブ演奏で、弦楽四重奏が入ることも多いですが、今回は新郎新婦の友人のギターアンサンブルでした。で、式にも披露宴にもBGMに日本では定番中の定番のウェディングマーチが使われることはあまりありません(少なくとも私が出席した4回の結婚式ではまったく使用されなかった)。花嫁がバージンロードを歩いてくるときの音楽は、100%といっていいくらいパッフェルベルのカノン。ユダヤ教でもキリスト教でもカノン。今回の場合も、もちろんカノン。
 結婚式が終わると、庭に組まれたテントでパーティ。まずカクテルタイムがあり、それからテーブルについてフルコースディナーがあり、その後は延々と深夜1時、2時まで続くというのがアメリカのウェディングです。日本より圧倒的に長い。
 こうした屋外ウェディングの場合は、飲食やテーブルセットは当然ケータラーを雇います。一般的にアメリカのケータラーの料理に期待はできないのですが、実は一番美味しいのが、カクテルタイムにウェイターが持って回るフィンガーフードの類です。ちょっと気の利いた流行ものが出ます。マッシュルームのカサディヤとか、シュリンプのココナツ揚げとか。
 ディナーは席が指定されていて、おしゃれなメープルシロップの小瓶に名札のついたものが席札となっていました。披露宴は新郎新婦のダンスで始まります。今時、日頃からダンスをする人なんていませんから、この日のために付け焼刃で社交ダンスを習うカップルが多く、たいていは、この日のために振りつけを練習してあります。このあと、花嫁と花嫁の父のダンスというのもお約束なので、お父さんも事前に練習します。
 音楽はもちろんライブ。これは会場や規模に関わらず、ほとんどの結婚式でライブ演奏です。こうしたパーティのライブ演奏の需要がアメリカのミュージシャンの仕事をかなり作り出していると思います。その意味で、日本でもぜひ取り入れてほしい習慣です。
 さて、披露宴が始まると間もなく、それまでの晴天が嘘のように急にバケツをひっくり返したような大雨大風。テントの下とはいえ屋外ですから、吹き付ける雨がすごい。私とチャールズの席はテントの端にあり、そのすぐ横のテーブルにウェディングケーキがありました。そのウェディングケーキにも雨がバンバン吹き付けます。
 アメリカのウェディングケーキは日本よりはるかに力が入っていて、デザインにも、すごく凝ってお金もかけます(ピンきりですが、千ドル、二千ドルという価格もめずらしくありません)。その立派なケーキに吹き付ける雨。が、スタッフはまだ誰も気付いていない様子。これはまずかろうとチャールズが「誰かに言わなきゃ」といったところ、隣にいたチャールズの従兄弟(ゴルフ場フリスビーとは別の従兄弟)が「僕たちでテーブルを動かせばいいんだよ」と言います。
 「こういうものは触らないほうがいいんじゃないか」と思ったのですが、ためらうチャールズにかまわず、その従兄弟はすでにケーキの置いてあるテーブルを動かしかけています。仕方なく反対側を持ち上げるチャールズ。
 が、これがそう簡単ではありませんでした。屋外ですから地面がでこぼこです。ケーキのテーブルの下には安定させるための板だのなんだのいろんな仕掛けがあったのですが、テーブルクロスにかくれて見えなかったのです。それを持ち上げてずらして置こうとするとどうなるかというと、テーブルは当然傾きます。ウェディングケーキというのは高く積み上げてあるものなので、そもそも安定が悪い。あっと思う間もなくてっぺんの花嫁花婿人形が転げ落ち、クリームまみれ。
 これはやばい、と思ったところに、やっと現われたケータラーのスタッフ。みんなが呆然とする中、いきなり言い訳するチャールズの従兄弟。
「彼(チャールズ)が動かそうって言うから僕は手伝っただけなんだ。僕はやめた方がいいんじゃないかと思ったんだけどね、花婿の叔父(チャールズ)が言うことだから」
 呆気にとられて、何も言えないチャールズ。おとなしい男はこのようにして罪をなすりつけられるわけです。
 すぐにパティシェらしき人が現われて、ペタペタとスパチュラで修復し、ケーキはちょっと見にはわからないくらいに回復。そして、これ以上ケーキがダメージを受けないうちにと、予定を大幅に繰り上げて即座にケーキカットが行われたのでした。

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投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

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