日本映画中心にいろいろ

10/13/2009
9月に入ってから仕事がとんでもなくたてこんでいて、なにもかもほったらかし。
とはいいながら、ぼちぼちとDVDとか観たりしてます。忙しい時にリラックスするには、やっぱり日本語じゃなくちゃね(英語の映画はそれなりの集中力がいるので「観たい」というモチベーションがないと観られない)、というわけでNetflixにある日本映画をかたっぱしから。チャールズの日本学習という目的もあるんですが、なにしろNetflixの日本映画のコレクションが奇妙なので、チャールズの日本観はかなり不思議なものになっているかも。

9月に入ってから観たDVDは、日本映画が「狂った果実」「関東無宿」「女が階段を登る時」「失楽園」、日米合作(日本未公開だそうで)「Mishima: A Life In Four Chapters」、アメリカ映画が「To Have and Have Not」(邦題『脱出』)と「Sicko」、久しぶりに映画館で観たのが「Capitalism: A Love Story」。

「狂った果実」はいわずと知れた石原裕次郎主演、石原慎太郎原作。日本映画の傑作ってことになってますが、Women Haterの映画だなあ、というのが一番の印象です。慎太郎のゆがんだ女性観がよくわかります。女が重要な役割を担っていながら女が存在していない。この人は女は馬鹿と娼婦(ステレオタイプな意味での)しかいないと思ってんだろうなあ。まあ、当時の風俗はそれなりに面白いです。で、若き岡田真澄の美しさにびっくり。誰だかわかりませんでした。この映画でデビューした津川雅彦は年とってからの方がいい男です。この映画が好きになれないのは石原裕次郎のどこがいいのかさっぱりわからない、というのも一因です。どうしてこの人がスターなのかどうしても理解できない。いい男の定義なんて人それぞれに決まってますが、私には石原裕次郎は、「一般的にいい男だとされている男」の中で、どこに魅力があるのかまったくわからないという点でダントツです。

わからないといえば、裕次郎ほどではないけど、わかんないのがハンフリー・ボガート。「To Have and Have Not」はローレン・バコールと共演している古い映画です。世界のいい男の代表みたいに言われてるので、ちゃんと観れば魅力的なのかも、と思って古い映画を観てみたわけですが、やっぱり全然いい男に見えない。私の好みがよほど変なんでしょうか。

「女が階段を登る時」は成瀬巳喜男監督・高峰秀子主演の1960年の映画。銀座のバーの雇われママとその周辺のお話。高峰秀子が監修していたという衣装がとてもいい。当時の銀座のママが住むおしゃれなアパートとか、風俗も面白い。が、アメリカ人チャールズには銀座のバーのシステムってものは、いくら説明しても理解できません。いったい何をしてもらうためにそんな大金払うんだ?というところが。芸者遊びの時代から続いた女遊びの料金システムってのはまさに日本の文化なんだなと思います。現代のニューヨークにだって日本人駐在員相手のピアノバーがいっぱいあるくらいなんだから。あらゆる商品が実質本位、価格訴求になっていく中で、減ったとはいえ生き残ってるんですからね、現代の日本で。

「関東無宿」は鈴木清順監督・小林旭主演のやくざ映画。小林旭の着流しで日本刀を振り回す古典的なヤクザスタイルがいけてます(いい男です)。ばりばりにヤクザ映画なんですが、色使いとかまるで舞台みたいなカットとか鈴木清順らしさが随所に出てきます。が、濡れ場とか立ち回りとかは、プリズンホテルか、ごくせんかみたいなジョークに見えちゃいます。

「失楽園」は、この中では一番新しいとはいえ、映画公開から既に10年以上たっています。流行語だったのが昨日のことのように思えますが。主人公が第一線をはずされて閑職にいるというのが始まりなんですが、「窓際族」なんてものがあった呑気な時代だったんですね。今時なら、クビ、倒産、失業確実です。そもそも原作からしてストーリーや結末に説得性なんてみじんもなく、飲み食い、旅行、濡れ場が売りの映画のはずなんですが、かなり重要なはずの食べるシーンがよくない。鴨とクレソンの鍋という、品目としては美味しそうな料理が繰り返し出てくるのですが、これがすごく不味そう。これをまた黒木瞳が「やっぱり二人でいただくと美味しいわ」とか言いながらすごく不味そうに食べる。ここまで不味そうに物を食べる女優ってのもめずらしいぞ。「ただの食べて、やりまくる映画にはしたくない」という監督の思い入れでもあるんでしょうか。だったら、はずれてます。よけいすべてが嘘くさく下手くさくなってるだけです。
でも、クレソンと鴨の鍋は美味しそうだから、いつかやってみたいです。この鴨鍋に合わせてるのが赤ワインだってところがまた90年代です。今なら吟醸酒だよね。

「Mishima: A Life In Four Chapters」は80年代の映画で日米合作なんですが、三島由紀夫未亡人の抗議により日本で公開できなかった作品だそうです。監督は「タクシードライバー」の脚本家のポール・シュレイダー。三島の生い立ちに『金閣寺』『鏡子の家』『奔馬』の3作を入れ込む形になっています。劇中劇のように挿入される三作のミニマリストの舞台風のセットがなんかなあ、ですが、キャストが面白い。三島役に緒方拳、『金閣寺』に八十助(現三津五郎)と老師役に笠智衆がちょこっと、『鏡子の家』はジュリーに李礼仙。作品としては、作りすぎで駄作と思いますが、個々の演技は面白かったです。80年代だから沢田研ニも今よりは若かったはずですが、今時の若者と比べるとプロポーションが頭でっかちなのが意外でした。この20年で日本人の体型ってずいぶん変わってるんですね。

マイケル・ムーアの「Sicko」と「Capitalism: A Love Story」については、映画を離れて言いたいことが山ほどあるので別項で。

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投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

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