七三花横

1/15/2009
 今回は短期間な上、あれこれ手続きもあって忙しいので観劇予定はありませんでした。歌舞伎座の演目すら知らない状態で。でも、ちょっと何やってるかだけ見てみようかなと、ついでにどれくらい売れてるか見てみましょうとチケットウエブをサーチしたら、なんと4列目8番(花道七三の真横)が出てきました。
演目は「曽我の対面」と「鏡獅子」と「猿源氏」。花道七三(花道全体の長さの前から三分七分のところ)の見せ場がいっぱいあるはず。思わずクリックしてしまいました。
日程を選ばなければ、直前にサーチすると、こういう戻り席(関係者がキープしていた席が直前になって余って出てくる)に当たる確率は結構多いのですが、ここまで良い席は初めて。
 よかったのは勘三郎の鏡獅子。この人の踊りは、まあ、きれい、というのではなく、踊りとして面白い。何がどうって言われると困るのですが、観れば歌舞伎初心者でもわかります。ただ時々ドスコイな感じになるのが難点。で、さらにいいのが後シテの獅子になってから。これもうまく言葉で説明できないけど。あと胡蝶で出ていた仁左衛門の孫がとっても達者でかわいかった。将来が楽しみ。最初にちょっと出るだけですが、大好きな吉之丞が老女で出てきたのも得した気分。華のある老け役という不思議な存在です。
 十代の頃から歌舞伎を観ていますが、こういうかぶりつきの席(花道横だと、役者が花道にいる時は1列目から舞台を観る時以上に近い)で観るのは25年ぶりくらいです。で、しみじみ感じたのは役者の年齢。白塗りの化粧っていうのは、ある程度の距離で見ると年齢を感じないですむのですが、下から照明を浴びたのを真下から見上げると肌のたるみやちりめんジワがものすごくはっきりわかります。
 かつて熱心に歌舞伎を観ていた頃は私も若かったけど役者も若かった。その頃から20年以上のブランクがあるので誰も彼も私の中のイメージでは若手のまま(私自身だって、自覚イメージはもちろん若手だ)。が、出演者勢揃いみたいな配役の「曽我の対面」では、かつての若手の子供たち(菊之助、染五郎)が一緒に並んでるので、現役若手と元若手の差がくっきりと。それにしても菊之助はきれい。お父さんの若い頃よりずっときれいだと思う。
 おそろしいほど老けたのが梅玉と魁春兄弟。とくに魁春は手や顔が常に小刻みに震えていて、いったいどうしたのかと思うほど。化粧が晩年の歌右衛門に似てるせいもあって、あごをつきだした姿勢とか歌右衛門そっくり(似てるのは形態だけだけど)。
「猿源氏」の玉三郎は、舞台奥からの出の瞬間は、あたりを払う水際だった美しさ。このあたりはさすがです。ちなみに年齢は魁春とほとんど変わらないはず。美しさに対する並々ならぬ執念を感じさせます。
 が、幕切れでいよいよお楽しみの花道七三になると、さすがの玉様にも隠しようもないたるみとちりめんジワが。かつてはどんだけ近寄っても、というか近い席で観るほどその完璧な美しさが確認できたものですが、なんか見てはいけないものを観た気分。玉三郎の後援会ルートで切符を入手すると花横や最前列は絶対来ないで、センターとちり席になるそうですが、しみじみ納得したのでした。
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投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

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