ベケット

9/22/2007
 この9月からハイスクールに入学した娘の学校のガイダンスがありました。ミドルスクールやハイスクールにはクラス担任というものがありません(クラスもない)。だから保護者会とか保護者面談というのがないかわりに年度始めに各学科の担任が1年の学習計画について説明する日というのがあります。夜7時から10時近くまで行われ、各教科担任の持ち時間10分で、父母は子供たちが普段行っている時間割の短縮版のような形で各学科の教室を回るわけです。なにしろ1学年400人ですから、その時間割の複雑なこと、建て増しを重ねた校舎の迷路のようなわかりにくさといったら大変なもので、廊下にボランティアの学生がいっぱい立っていて道案内にあたり、その中を何百人もの父母が10分毎にラッシュアワーのように往来しているという異様な光景となります。
 各教科内容の解説は、なにしろ10分の通りいっぺんですからとりたてて面白いものではないのですが、まあ、先生の顔くらいはわかります。教科書というものがないので、親にとってはこの時に渡されるレジメだけが教科内容を知るよすがとなります。が、それもハイスクールにもなれば、わかったところで親の出る幕はありません。私としては娘のためというより、アメリカのハイスクールではどのように各教科が教えられているのか、という個人的な興味のみで聞いています。
 で、イングリッシュつまり国語のクラスでのこと。ハイスクールの国語が、これまでのミドルスクールと違うな、と思ったのは、古典的な長編まるごと数冊を年間の教材にする点です。娘のクラスの1年間の教材に選ばれていたのが、まず最初が『蝿の王』、次に『メディア』、そして『ベケット』、『カンタベリー物語』『ロミオとジュリエット』とありました。
 これまで、娘が学校でもらってくる読書リストには私が知ってるタイトルはまずないと言っていいほどでしたが、ハイスクールに入って、やっと日本人にもお馴染みのタイトルが登場してきました。このうち4つはすぐわかりましたが、『ベケット』って?
 ベケットといったら、私のマイミクさんたちの多くが即座に思い浮かべるのが「ゴドーを待ちながら」でありましょう。わたしもそうです。しかも、先生が『ベケット』について、「これは2人の男が出てくる近代の戯曲で、」というので、わたしはてっきりベケット作の『ゴドー』と思ったのっですが、どう考えてもこのラインアップでは『ゴドー』は浮いている。しかも他はタイトルなのに、ベケットだけ作者名っていうのも変。
 一緒にいた元夫(*学校の保護者向けガイダンスは両親揃って出席するのが普通で、離婚していてもこういうときだけは顔を合わせるというのは珍しくない)に、
「これって『ゴドーを待ちながら』なの?」と聞くと
「サミュエル・ベケットのベケットはtが2つだ。これは1つだから戯曲の『ベケット』」と言ってました。
 家に帰ってグーグルで検索したら、たしかにありました。『ベケット』っていう60年代の戯曲が。中世の王様とその参謀の話で、たしかに「2人の男が出てくる近代の戯曲」だ。日本語で「ベケット」で検索しても出てくるのは『ゴドー』ばっかりですが、t1つのBecketで検索すれば、戯曲の『ベケット』が出てきます。ベケットのtの数なんて知りもしませんでしたが、西洋人でベケットを知ってる人にとっては当然の区別なのでしょう。
 英語で聞いているときは、自分の知識の中からの類推で聞き取っている部分がかなりあるので、この手の勘違いは、これまでも結構いっぱいしてるんだろうなあ、と思います。
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投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

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