さよなら

世の中クリスマスでしたが、クリスチャンが誰もいない我が家ではクリスマスをやりません。ここ数年、娘は父親とその妹と息子たち(つまり彼女にとっては叔母と従兄弟)とともに旅行に行くことになっています。私はシティから遊びに来てくれた友だち2人とのんびりした週末を過ごしました。
その友達の1人がお土産に、1958年作のマーロン・ブランド主演「さよなら」のDVDを持ってきてくれました。これがもう、つっこみどころ満載の映画。マーロン・ブランド演じるエリート青年将校が日本に赴任して、宝塚の男役トップスターと恋に落ちるというとてつもないストーリーで、しかもマーロン・ブランドに捨てられたアメリカ人婚約者は歌舞伎の花形役者に惹かれていくという脇筋つきです。着物やセットなんかは「さゆり」よりよほどオーセンティックだし、ある意味かなりちゃんと描いているところもあったりするのがまた面白いところなんですが、はずれっぷりは大胆です。いきなり出てくる歌舞伎役者が筋肉隆々の白人(髪を黒くして目を細くして日本人のつもり)。それが女形の化粧して鏡獅子を踊ります。で、この鏡獅子が衣装も長唄も振りもちゃんと鏡獅子で、この白人歌舞伎役者の踊りが結構まとも(少なくとも『さゆり』に出てきた舞妓の踊りより100倍まとも)。宝塚の(映画の中では松林歌劇団という名前になってますが)のレビューもちゃんと大階段もあってなんとなく宝塚風。が、このヒロインである男役トップスターがプロポーズされて告白するのが「私は貧しい家に生まれて親に歌劇団に売られたのでやめるわけにはいかないのだ」という事情。宝塚がいきなり吉原かなんぞのようにされてしまいます。そしてもちろん日本の女と見れば、男と一緒に風呂に入れなければ気がすまないアメリカ映画のお約束はこの映画でもばっちり。決して口ごたえせず男の世話をしまくり舌ったらずにしゃべる日本女のステレオタイプもばっちりだ。けっ。
歌舞伎に能に文楽、茶道と伝統文化てんこ盛りで、日本文化紹介映画としてはなかなか健闘していますが、一番の問題はマーロン・ブランド。とてもエリート将校には見えない(しゃんとしろ、しゃんとっ!)上に、全然シンシアリティーが感じられないので、説得力がない。
が、とにかく楽しめる映画ではありました。時代を感じさせます。
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投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

“さよなら” への 3 件のフィードバック

  1. 十数年前、フロリダで大学生してた頃、『さよなら』をケーブルTVで見たことがあります。あの“ナカムラ”という歌舞伎役者にはのけぞりました。文楽を観て心中するアメリカ人男性と日本人女性のくだりも、ちょっと、と思った記憶あり。昨年、何度かDVDを買おうかな、と思いつつ、やっぱりいいや、と買ってませんでした。正月の歌舞伎座初日、勘三郎の「鏡獅子」を観ました。化けてはいますが、あの首の太さで女というのは、いただけなかった。翌日、国立劇場の初日、ロビーで見かけた冨司純子の首は細かった。美人は首筋も美しい?勘三郎ほどの人気役者ですから、衣装やカツラを工夫することで何とかしようと思えばできたのでは?愛之助も女形するけど首太星人。

  2. そうそう、あの心中はたしかに。でも時代を考えれば、あの映画は「さゆり」のナンチャッテぶりにくらべたら
    100倍普通。
    勘三郎の鏡獅子は渡辺保べたほめでしたが、そんなでもなかったってことですね。冨司純子は私も昨年の演舞場と歌舞伎座で見かけましたが、ほんとにきれい。それにしてもあの人は体も相当細いと思う。

  3. 勘三郎の「鏡獅子」悪いとは言いませんが、20代のころから何度歌舞伎座の舞台(特に正月)踊ってきたかを考えると、やっぱり芸が浅い。50過ぎてのあの体力と迫力は褒められるべきだとは思いますが、50過ぎて所作事の芸とケレンとの差を理解してないのは、ある意味イタい。首の太さはともかくとして、女形を気合い入れてやった時に勘九郎時代からアゴを鋭利に突き出すクセがあるのですが、直ってない。その悪いくせが勘太郎にもついてしまっているのを見ると苦笑する。そういう点、七之助は頬こけ過ぎで歌舞伎のカツラが浮いてしまいますが、将来、いい役者になること間違いないでしょう。

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