パーティーガールの作り方

前項に書いた人気者の女の子のバットミツバの日、私はモールでお琴を弾くお仕事だったので、お迎えは仲良しのお友達のお母さんに頼んで、娘が先に帰宅。わたしが戻ったとき、既にシャワーを浴びて着替えていた娘は、見慣れないタンクトップを着ていました。派手なエアブラシペイントで、娘の名前がかっこよく入れてあります。バットミツバのお土産だそうです。以下、娘の報告。
「好きな柄を選んでTシャツに名前と一緒にペイントしてくれる人がいて、あとヘナ・タトゥー(特別な染料で本物そっくりのタトゥー)をしてくれる人もいたんだよ。ほら(二の腕にオレンジのタトゥー)。ほんとはずっとつけてないといけないんだけど早くはがしちゃったから、黒じゃなくてオレンジになっちゃったんだよ。カクテルタイムにはもちろんストロベリーダイキリとピニャコラーダがあったけど、タトゥーとTシャツをしてもらってたから、食べ物が何が出てたかは覚えてない(カクテルタイムにTシャツプリントとタトゥーの屋台が出ていたらしい)。でもね、ビュッフェじゃなくて、座って食べるディナーだった。ダンスしてるとね、『ファーストコースが出来ました』って呼ばれてテーブルに行くの。ファーストコースはシーザーサラダ。それからまたダンスして『メインコースが出来ました』って呼ばれる。メインはチキンとパスタで、パスタがすごく美味しかった。デザートは、すごくファンシーなアイスクリームとブラウニー。バーミツバケーキもあったけど、それは食べなかった。あとね、ウェイターが水のピッチャーじゃなくてソーダの入ったピッチャーを持ってきてリフィルしてくれるんだよ(ソーダ飲み放題)。子供はたくさんよばれてたよ。うちの学校からだけで73人いた(細かい)。あとキャンプの友達とかサッカーの友達とか他の学校の子も来てた。大人の数は覚えてない(10人、20人ではきかないのは明らか)。すごく楽しかった。最高のバーミツバだった」
そりゃあ、楽しかっただろう。500万円コースというところでしょうか。
まだ、娘が幼い頃、父方の文化だって教えた方がよかろうからヘブルスクールにも通わせようかな、とチラッと思ったことがあります。が、当の父親が全く興味を示さないので話はすぐに消えました。行かせてなくてよかったとしみじみ思う今日このごろ。

バーミツバ事情

まるで春のような暖かさはフェイントで、先週末あたりからすごく寒い。朝は零下5度(摂氏)くらい。昼間はなんとか氷点を越えますが、北風が冷たい。
さて、昨年暮れから始まった娘の学年のバーミツバシーズンはますます盛んで、今日も先週に引き続きバットミツバ(バーミツバの女の子バージョン)。4月もすでに2つご招待が来ています。今日のバットミツバは人気者の女の子のものなので、たくさんお友達が来ているからこの前と同じドレスで行くわけにはいかない、と娘は先週からごねていました。来年はもう同じものが着られなくなる育ち盛りの子供がフォーマルドレスを2着も3着も買うなんてとんでもないととりあわなかったのですが娘はお父さんを攻略して昨日ぎりぎりで新しいドレスをゲット。ゆうべからマニキュア、ペディキュアもおこたりなく、今朝も念入りに化粧してでかけて行きました(お父さんが本日のドライブ担当)。今日のバットミツバは、たいへんフォーマルな高級レストランを借り切ってのパーティーだそうです。
ホテルのバンケットだったり、カジュアルレストランだったり、会場に差はありますが、バーミツバは、どれも結婚式の披露宴なみの規模です。で、時間的には日本の披露宴よりずっと長い。これはこちらの結婚式でもそうで、披露宴のパーティーだけで5,6時間になります。バーミツバにしても、結婚式にしてもその前にセレモニーがあって、これが1時間以上はかかる。だから、バーミツバも始まりが9時半で終わりが5時という完全なフルデイ・イベントとなります。午後からのセレモニーとなると、パーティー終了後のお迎え指定時間が夜中の12時というのもめずらしくない。13歳の子供のパーティーの終了が真夜中ってのは、いかがなものかと思いますが、これはバーミツバが親の友人その他を招くものでもあるからのようです。このあたりも結婚式と事情が似ています。
出席するほうも物入りですが、主催する側は物入りどころじゃありません。飲食代だけでも控えめに見積もってお一人様50ドルから100ドルだとして、ゲスト100人で5000ドルから10000ドル。フォーマルなフルコースのこともビュッフェスタイルのこともありますが、レストランまたはクラブ貸切はもう、お約束みたいなもの。うちの娘は初めて出席したバーミツバで生まれて初めてキャビアを食べて「気持ち悪かった」と罰当たりなことを言っていました。ブルーベリーののっかったマフィンだと思って食べたのだそうです(キャビアのせブリニだった)。たしかにマフィンを期待してキャビアを食べたら気持ちわるかろうとは思います。
お飲み物も、大人は当然アルコールですが、子供はコーラやジュースでいいかというと、ところがどっこい、アルコール抜きのピニャコラーダとストロベリーダイキリが定番の人気ドリンク。アルコール抜きでも一応はフローズンカクテルですからお値段もそれなりのはず。
それからお花。セレモニーを行うテンプル、パーティー会場両方に花を飾ると(これは結婚式でもバーミツバでもお決まり)フラワーアレンジメントだけでお支払いは千ドル以上はかたい。
それから生バンドまたはDJが必須。場合によっては両方ということもありますが、結婚式では生バンド(結婚式の場合はセレモニーにはクラシックの四重奏、パーティーではポップス系とバンド2組ということもある)、バーミツバではDJが主流です。
このDJというのがアメリカならではの職種。パーティー屋さんとでもいいましょうか、たいがいが音響機材、パーティーグッズ、盛り上げ役の若いダンサー数人とセットになってやってきます。進行、音楽はもとより、ゲームを用意したり、パーティーの演出すべてを担当するわけです。バーミツバのように13歳の子供が主役で、40代50代の親、70代80代のおじいちゃんおばあちゃんと違う年代のゲストも多数のパーティーでは、子供に受けるゲームや選曲に加えて、中年むけのトリビアや、シニア向けのスローなダンスナンバーとかもいれたり、いろいろと工夫するわけです。配り物もパーティーのテーマによって、凝ればきりがありません。当然、セット価格でお支払いは数千ドルはかたい。DJは、さまざまなパーティーで需要がありますが、ニューヨーク近郊ではおそらくバーミツバが最も重要な稼ぎどころだと思われます。
で、お帰りにはお土産つきが、またお約束。これまで娘が持ち帰ったものには、パーティーでとった写真をかわいい紙製のフレームに入れたもの、空気を入れてふくらます実物大のギターの玩具とプラスティックのテンガロンハット、名前入りのTシャツ、プラスティックのネックレスなんかがありました。
こういうとてつもないパーティーに1年間、月1回以上の割合で出席するわけです。このあたりの13歳児は。もっと南のジューイッシュ密集地域では、ほぼ毎週に近いそうです。これって、絶対に異常です。やってる方だって異常だなあ、とう思いつつも、みんながやっててうちだけやらないわけにはいかない状態に陥ってるケースも多いと思うけど。

アクセント

また娘の友達のバーミツバがありました。今度のバーミツバは幼稚園の頃からよく知ってる子でお母さんがイギリス人。レストランを借り切ってのパーティーだったのですが、そこに彼の母方の親戚が大勢イギリスから来ていたらしい。で、同年代の従兄弟たちとお友達になったんだそうです。娘は彼らのブリティッシュ・イングリッシュにいたく感銘を受けた様子。
アメリカのティーンエイジャーもブリティッシュ・イングリッシュはかっこいいと思ってるあたり、アメリカ人のヨーロッパコンプレックスの根強さを感じます。アクセントも、ものによってはかっこいいらしくて、娘がちょっと前に「I wish I have cool accent.」と言っていたことがありました。「お母さんのクールなジャパニーズアクセント真似すれば」と言ったのですが、ジャパニーズ・アクセントは全然クールじゃないそうです。じゃあ、何アクセントがクールなの?と聞くと「ブリティッシュとか、ジャマイカンとか、オーストラリアン」だそうです。
ブリティッシュはわかりやすいですが、なんでジャマイカン?というと、ジャマイカンの歌手がジャマイカン・イングリッシュで歌ってる曲が流行ってるから。聞いてるかぎりではとてもクールとは思えない妙な英語ですが、ともかく彼らにとってはクールなんだそうです。で、なんでオーストラリアン?というのはよくわかりません。とにかくアジア系のアクセントはチャイニーズだろうと、インディアンだろうと、全然クールじゃないようです。

家庭教師ドットコム

娘がtutor.com(インターネット家庭教師)をサブスクライブしてくれと言い出しました。IM(インスタント・メッセージ)のウェブ広告にあった1日お試しを使ってみたら、すごくよくわかったから、買ってくれというのです。小学生の頃は算数がわからないなんていうのは簡単に教えられたのですが、娘が7年生となった今、私が日本語で教えてもまったく娘には通じないし、英語で教えるにはこっちは数学用語がわからない。そもそも数学は中学卒業と同時に「わかりません」の世界に封印してしまった母の数学力が限界だ。ついこの前も円錐と三角錐の体積を求める公式をきかれて、全然覚えていないことに愕然としたのでした。というわけで、tutor.comです。どういうシステムかというと、使用料を払ってパスワードを設定してログインすると、どこかにいるtutor.comのスタッフ(たぶん大学生)が応答して教えてくれる1対1方式。つまりIMと同じですね。ドローイングのボードと会話を書き込めるウインドウ上でやりとりをします。月々67ドルというのは安くはありませんが、生身のチューター(家庭教師)に比べれば大バーゲン。よく知らないけど、たぶん日本の塾より安い。その上、午後2時から午前1時までいつでも好きなだけ使えますというのが売りです。
それじゃあ、ちょっくら試してみましょう、と一月契約して、娘が使っているところを見物してみました。まず簡単なご挨拶のやりとりのあと娘が宿題の数式の解き方を教えてくれと言って、ドローイングボードに代数の数式を書き込みます。
(3X-1)(X+3)
それに対するチューターのDavid君の答えは
What do you have to do with this? FOIL method ?
なんだそのFOILメソッドってのは?と思ってると、どうも娘の知りたかったのはそのFOIL method だったらしくて、David君はボードにFOIL method の図解を書き込んで(このFOILっていうのは計算の順番を表すアブリビエーションらしい)適当に間を空けながら、娘に手順を追って計算させます。娘はこれで学校で習ったFOILの意味が初めてわかったと言いました(わたしもちょっとわかった)。
まあ、確かにわたしが悪戦苦闘した挙句に怒鳴りまくって血圧上げながら教えるよりはいいかも。娘によると、出てくる相手によって当たりはずれはあるそうですが、駄目だと思ったら、すぐに飛ばすことができるそうです。
それにしても、このチューターは、IM漬けの子供ら(およびバイトの大学生)がタイプだけはものすごく速いというのを前提にしたビジネスです。なにしろやりとりは全部タイプなんですから。数学はともかく、英語(主要教科は全部ある)とか社会とかだと、お互いに結構な文章量が必要になってくるし。
IMのサイドに広告つけるのも頷けます。でもって、そのマーケティング戦略の狙いにずっぽりはまっているわたしら親子。

補習校最後の日

まだ3月もはじめだっていうのに、昨日から華氏60度(たぶん摂氏15度くらい)を超える暖かさ。例年ならまだ吹雪がきたりしている頃なのに、なんだかうれしいより気味が悪い。でも、子供らは単純にうれしそうで、昨日は友達の家に遊びに行っていた娘を迎えにいったら(歩いて行ける距離に住む友達はまずいないのでアメリカ郊外の子供たちは大学生になるまで友達の家に行くにもママの送り迎えという情けないことになっています)、娘はショーツと半そでのTシャツを着ていました。お友達から借りたようです。いくらなんでも、そんなに暑くはないぞ。陽気に浮かれて学校にゴムぞーりで来た子もいたそうで、夏の先取りがかっこいいと思っているらしい。
さて、今日は娘の日本語補習校の最終日。明日が卒業式です。ニューヨーク補習校には中学高校もあるので進学する子供もいますが、うちの娘は6年生までで終わりです。すでに3,4年生くらいから日本語力がついていけなくなっていて、漢字どころか、そもそも言葉の意味がてんでわかっていないという状況だったので、仕方なくはありますが、この先日本語力の低下に拍車がかかるのは避けられまいと思うとちょっと寂しい。でも、もう親が首に縄をつけてやらせるのは年齢的に限界です。
アメリカで子供を育ててみて、よくわかったのは、生まれたときからバイリンガル環境にいればバイリンガルに育つなんていうことは絶対にありえないということ。ついでにいえば、子供は英語圏に住めばすぐに英語ができるようになるなんていうのも大嘘です。どんな環境にいようと大汗かいて勉強しなきゃ言語力なんてつかないわけで、親の駐在で日本から来る子供たちだって、それこそ血のにじむような努力をしているのです。日本に住む日本人の日本語だって自然に覚えたわけじゃなくて、学校で勉強したり塾に行って覚えているわけだし。ちなみにバイリンガル環境で育った子供がたいした努力なく覚えられるのはせいぜい5歳児の言語までです。その後、学校の国語でやるような親子ともに努力を必要とする勉強をさせないと、大人になってどの程度の日本語力になるかというと、日本で義務教育すらも受けなければどの程度の言語力がつくかを想像すればいいわけです。アメリカに住んでいる場合には自然に目や耳に入る日本語がない分、さらにその5分の1くらいでしょうか。とうてい使い物にはなりません。大学4年間、日本語を真面目に専攻したアメリカ人の方が100倍ましくらいなものです。
だから、はっきり言えます。幼児向け英語教材は無駄です。小さいうちから英語に親しんでいれば将来英語力がつくなんてことは絶対ありません。もっとも「親しむ」んじゃなくて、本気で勉強するなら別ですけど、毎日何時間も、文法とかボキャブラリーとかスペルとか。