大停電

停電です。クリスマス以来、ニューヨークは異常に気温が高くて、昨日も華氏55度(摂氏だと10度台)と春みたいな気温で、バケツをひっくり返したような大雨。1月に雨が降るなんて尋常じゃありません。まあ、吹雪よりはいいかと思っていたのですが、やはり真冬のことで、いくら昼間暖かくても、夜になると気温が下がってバリバリに凍るので、雨は雨で厄介なのです。年末年始の風邪以来、やたらとだるいので、ゆうべも10時ごろにさっさと寝てしまったのですが、真夜中にパソコンのサージプロテクターの停電警戒音で起されました。アメリカ郊外では、停電なんてしょっちゅうです。とくに雨、風、雪のときは停電するのが当たり前みたいなもんです。どうせ夜中だし、起きた頃には直ってるだろうと思っていたのですが、明るくなって目覚めても停電のまま。そしてやたら寒い。真夜中に停電になってからずっと暖房が切れてるんだから当たり前です。
うちは暖房は電気なので停電になるとアウトです。このあたりにはガスもきていないので、キッチンまわりも湯沸しも全部電気。つまり停電になるとお茶も飲めない、シャワーもできないわけです。もちろん電気はつかないし、今時のコードレス電話は電気がないと通じないのでアンティーク電話でもないかぎり電話もだめです。
停電はよくあるのですが、たいていは数時間で直ります。が、たまに24時間越えることもあって、すでに10時間近くが経過しているという状況はなにか、かなり大きな問題がおきているわけで、かなりスリリングな事態です。夏場の停電で一番困るのは冷蔵庫ですが、冬場は長時間の停電となると寒さが問題です。昨日までの暖かさがうそのように夜中から気温が一気に下がり、外は雪。気温は摂氏マイナス5度。室内の温度もぐんぐん下がっていきます。夏場でないとはいえ、停電対策として冷蔵庫および冷凍庫を絶対開けないことは常識なので、食料品も出せません。
とりあえず、暖かい朝ご飯を食べに行くことにしました。雪に埋まった車を掘り出して、走りはじめると、昨日までの雨が途中から雪に変わって、それが凍ったという最悪のコンディション。で、コンドの私道から表の公道に出ると、なんと通行止め。大きな木が倒れたそうで、どうも停電の原因もそこにあるらしい。一番近い町のある南に行く道が通行止めなので、仕方なく北に向かいました。北にある一番近い町までは15マイルはあって、そこにいたる道は除雪状況がいつも悪いところなので、町にたどりつけるかどうかがわからない。停電の範囲は意外と広いらしくて信号もついてません。北西にまわり道をしてハイウエイまで出て南下しようかと思いながら、ラジオをつけると「道の状態はすごく悪くて、no matter where you go、道は凍ってます。ハイウエイのどこそこが通行止め」とか言っているじゃありませんか。これはちょっとやそっと南に行ったところでどうなるもんでもなさそうです。
ふっと見ると、近所で唯一の24時間営業のデリに一軒だけ明かりがついています。ふだんは入ることもない店なのですが、この際贅沢は言っていられません。中に入ってみたら、デリは大繁盛。みんな考えることは同じらしい。同じ町内にあるこのデリももちろん停電をくらっているわけですが、ジェネレーターをもっていてそれで動かしているのです。
このデリの働きぶりがめざましかった。セルフサービスのコーヒーをいつくも抱えて、ベーコンエッグサンド、だのスクランブルとチーズ、ケチャップ入り、バター抜きだの、結構細かい朝食用サンドイッチの注文をする客をものすごい速さで正確にキッチンに伝え、キッチンはまたすごいスピードで熱々のサンドイッチを作り、通常の10倍はあろうかという客を手際よくさばいているのです。これぞかき入れ時という場面で、プロフェッショナルにガンガン稼ぐ姿というのは、見ていて本当に気持ちがいい。アメリカだって、チェーン店じゃなくて、個人経営の店というのは捨てたもんじゃないのです。停電じゃない時にもまた来ようと思いました。
さて、家に戻って朝食を食べ終わってもまだ電気はつきません。あんまり寒いので暖炉に火を入れることにしました。暖炉というのは見た目は暖かそうなのですが、実はあまり暖かいものではありません。その上、暖房効率という意味ではむしろ暖気を外にだしてしまう逆効果のものらしい。でもとりあえず火ですからまん前にへばりついていれば多少はあったかい。アメリカ郊外の家には暖炉はつきものです。うちみたいな長屋式コンドでも暖炉は必ずあります。で、アメリカ人は一般に暖炉が好きなのですが、私はどうも家の中に火があるというのが安心できない。それも子供や動物という何するかわからないものがウロチョロしてるところで火がガンガン燃えているというのがいや。ということで、前の家でも暖炉は数回しか使いませんでしたが、この家では初めて。
おそるおそるつけてみました。火が燃え出したら、蜂が何匹もあぶりだされてきました。どうも暖炉のどこかに蜂が冬眠していたらしいのです。それが部屋に入ってきては大変なので暖炉の前面のガラス扉をぴっちり閉めてしまったので、全然暖かくない。ほんとうに火が燃えるのを見るだけの気分だけの暖炉です。猫たちは、初めて見る暖炉の火が珍しいらしく、いつまでもじいっと見ていました。
結局、電気が戻ってきたのは、午後4時近く。暗くなる前に決死の覚悟でどこかに食事にでかけようか、と思っていた頃でした。自分の生活が薄氷を踏むようなもんだってことを、改めて思い知らされました。が、考えても仕方がないので、咽喉元すぎたので忘れることにします。
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投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

“大停電” への 2 件のフィードバック

  1. 風邪のあとは大停電でしたか。一難去ってまた一難ですね。東京では停電などというものは「想定外」ですが、実は生活のかなりの部分を電気に依拠しているので、米国東岸の火事ではないのですよ。我が家の場合、都市ガスは来ていて、ヤカンやナベでお湯を沸かしたり調理したりは可能です。ミネラルウォーターとカップ麺で2、3日は生き延びられるでしょう。が、ガス風呂や給湯器は電気仕掛けのコントローラーで制御しているので、停電になったら使えません。暖房も危うい。エアコンは電気仕掛けなので、停電でパーです。ヒーターは灯油を燃やしていますが、石油温風ヒーターなので、これまた停電したらパー。むかし実家で使っていたようなアラジンのブルーフレームなど、燃やし専業の「石油ストーブ」じゃないと、大地震などの天変地異では凍え死にます。日本の棟割長屋って、暖炉もないですからね。阪神淡路大震災11年目の日に思ったことでした。それにしても、マンハッタンのデリで朝飯に食べた熱々のサンドイッチはおいしかったなー。

  2. なんで東京は停電がないんでしょうね。わたしが子供の頃は、時々1時間くらいの停電はあったような記憶があるけど。電線は地中に埋まってるんでしょうか。それにしては電信柱はあるけど。ていうか、なんでアメリカはこう停電が多いんだろう。木が多いからっていったって、日本だって地方に行けば木は多いだろうけど、10時間の停電とかいったらニュースですよね、日本じゃ。なぜだ。

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