まき割り

朝からガーデナーのトラックが来て、なにやらモーターの音を盛大にたてていました。冬のさなかに芝刈りでもあるまいし、何事だろうと思ったら、なにやら裏の林で倒れた木々を断裁している様子。午後になって外に出たら、断裁された丸太を車に積み込んでいた近所のご主人に呼びとめられ、「暖炉の薪用に切ってもらったから、欲しい人は好きなだけもっていっていいんだよ。他の人にも伝えてね」といわれました。裏の林の前には短い丸太がゴロゴロしています。
このところの嵐で大木が盛大に倒れたから薪がたくさんできたわけです。が、薪といってもそのまま使える薪になってるわけじゃなくて、でっかい丸太を短く切っただけのもの。つまり、これを斧で割って薪にするのはセルフサービスというわけです。暖炉用の薪というのは買えば結構高い(冬になるとスーパーでも売っている)ので、ただはうれしいけど、さすがにマキ割りはちょっとなあ。斧はご近所で貸してくれる人はいるだろうけど、やったことのないマキ割りでケガでもしたら薪代どころじゃない医療費がかかるし。どうせ暖炉もめったに使わないし。薪はパス。
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忘れ物

この冬、娘を地域のレクリエーションセンターがやっているスキー・スノーボードツアーに行かせています。毎週金曜日の放課後に出て夜に戻ってくるミドルスクールの生徒向けスキー・スノーボードクラスと毎週日曜日の早朝に出かけて夕方に帰ってくる一般バスツアーの2種類。金曜日の方は学校にバスが迎えにくるので、朝スノーボードの道具を積んで学校に送って行って、夜の10時半にタウンパークの駐車場まで迎えにいきます。
で、金曜日の夜、迎えに行って、戻ってくると学校用のバックパックがない。学校から直接行くので学校道具の入ったバックパックもスノーボードと一緒にバスに積んであるのですが、娘はその日学校に行ったことなんてすっかり忘れてスノーボードのお道具だけ持って帰ってきたというわけです。バックパックなんてなくなるわけはないでしょうが、レクリエーションオフィスは土日休みですからオフィスにとりにいくわけにはいかない。つまり学校道具なしで月曜に学校に行かなきゃならない可能性が高い上に、週末の宿題だってできない。
それなのに、娘は全然あわててない。というか困ってない。「捨てられることはないから大丈夫」とか言っています。この危機感のなさはなんだ。「どうやって宿題やるの?」というと「友達にきく」って、プリントの宿題なんてどうするんだ?
日曜日にも同じレクリエーションオフィスがやってるバスツアーがあるので、もしかして持ってきてもらえるかも、とオフィスの留守電にメッセージを残しておいたら、日曜の昼間にハイスクールで別の子供向けアクティビティがあるので、そこにくれば受け取れるという連絡がきました。こういうときには、娘に自分で責任持ってとりに行って来い、と言いたいところですが、運転できなきゃとりにいけないわけです。本当に車社会は、子供をいつまでも幼いまま、自己責任では何も解決できない無能なままにしてしまいます。
で、当然、わたしが運転してとりに行きました。「バックパック忘れた間抜けって、うちの子以外にもいるんですか」ときくと、「いっぱいいます。バックパックだけじゃなくて、スキーやスキー靴忘れてる子も」と言われました。レクリエーションオフィスの担当者は金曜の忘れ物持ち帰り係だったようで、忘れ物は全部自分の車の中に置いてあるからというので、一緒に駐車場まで行きました。なんと、彼女の車はトランクも後部座席も忘れ物でぎっちり。ほんとにスキーやスキー靴もありました。それにしても、スキーに行ってなんでスキー忘れて帰る?バックパックなんてそれこそ何個も。たったバス1台のツアーで、この大量の忘れ物って何?うちの娘も含めて、こいつらいったい何考えて生きてるんだ?

ショパン

運転しながら、CDでガゼボの「I like Chopin」を聞いていたら、娘が「I like 何って言ってるの?」と聞きます。いくらイタリア人の英語だからってお前アメリカ人だろう、それくらい聞き取れるだろうよ、と思って「ショパンよ、ショパン」と言ったら、「ショパンって何?」と言われました。「あんた、ショパン知らないのお?コンポーザーのショパンだよ。ベートーベンと同じくらい有名なコンポーザー」「ベートーベンは知ってるけどショパンなんて聞いたことない」と言い張ります。
アメリカの学校で教える音楽というのは、あまり系統だてた一般教養的なことをやりません。だから、自分でピアノかバイオリンでも習ってないかぎり、楽譜もよめないまま。音楽史なんてもちろんやってるとは思えない。音楽の時間に有名な作曲家の話をしたりということはあるようだから、バッハとベートーベンは知っています。ずいぶん前のことですが、ヘンデルの話をしていたこともありました。が、どうもショパンはそのセレクションに入ってなかったらしいのです。
中学生がショパン知らないなんて、いくら音楽が(学科として)嫌いだからって、物知らずにもほどがあろうと思ったのですが、娘いわく「友達に聞いたって、誰も知らない」と言い張ります。まさかピアノを習ってる子が知らないわけはないだろうけど、そもそも真剣にピアノを習っている子というのが少ない。ましてや日頃からクラシック音楽を聴く親はほとんどいないだろうし、クラシック音楽を聴く子供なんてツチノコなみに珍しいので、誰も知らないというのもまんざら嘘でもないかも。
そもそもガゼボの「I like Chopin」は、アメリカ人は誰も知らない不思議な曲です。日本じゃあんなに流行ったのに、アメリカでは全然流行らなかったのです。私がそれを知ったのは4,5年前、元夫が「何これ、聞いたことない」と言った時で、80年代に世界中でヒットしたものと思い込んでいた私は驚きました。で、インターネットで調べてみたら、この曲はヨーロッパ各国およびカナダ、ニュージーランド、それに香港やシンガポールとかアジアの英語圏にいたるまで、それこそアメリカ以外ではすべてヒットチャートに入ってるのに、アメリカだけ外してるのです。おそらく、アバみたいに世界最大のマーケットのアメリカで売れることを狙って、わざわざ英語で歌ってるんだろうに、アメリカじゃ当たらなかったわけです。
そのときは、こういうビートのない曲ってアメリカ人好みじゃないかもなあ、と思ったのですが、ひょっとするとショパンがまずかったのかも。ベートーベンかバッハにしとけばいけたのかも。

ご近所停電

今日もまた、気温が朝から華氏57度(摂氏15度くらいか)と春のように生暖かいのはいいんですが、ものすごい暴風と雨で、まるで台風。もう風の音が恐ろしいほどで何度も何度も電気がふっと消えかかって、どきどきしました。明日に出す仕事も受けちゃったから停電になんてなられたら最悪です。はらはらしながら仕事をしてると、娘の学校から緊急電話サービスがかかってきまして、学校区の小学校4校のうち3校が停電になったので、子供を帰すとアナウンスされました。娘の通ってるミドルスクールとハイスクールの電気は無事なので平常どおりだそうですが、3校もの小学校がすべて停電というのは停電の範囲の広さがはんぱじゃありません。
夜になって娘の親友から電話がかかってきて、家が停電だから泊まりに行ってもいいか、と言います。もちろんすぐに来てもらいました。運転して連れてきたお母さんの話によると、あっちこっちで木が倒れて通行止め、彼女の家のあたりの電気の復旧は明日の夜がめどと言われたそうです。とにかく暴風で停電が多発しているために電気会社の作業員が全然足りないらしく、まだ誰もなおしに来てさえいないというのです。明日の夜っていうことは完全に24時間以上はかかるということで、それに呆れていたら、まだ上があって、グリニッジ(ここよりずっとシティに近い有名な高級住宅街)では、この前のストーム(うちが停電になった日)の停電からまだ復旧してないそうです。かれこれ4日。そんなふうですから、今停電になってるところはいつ修理班が来るのかさえわからないらしい。うちが停電しなかったのは、ラッキーといかいいようがありません。
それにしても、今年の天気は異常。木がこんなに簡単に倒れるのも、普段なら凍っているべき地面が緩んだ上にやたらと雨が降っているからだそうです。雪かきが大変でも冬は冬らしく雪が降ったほうがまだしもまし、ということがよくわかりました。今夜からまた気温が下がるらしいので、明日はまた道がバリバリに凍ります。

大停電

停電です。クリスマス以来、ニューヨークは異常に気温が高くて、昨日も華氏55度(摂氏だと10度台)と春みたいな気温で、バケツをひっくり返したような大雨。1月に雨が降るなんて尋常じゃありません。まあ、吹雪よりはいいかと思っていたのですが、やはり真冬のことで、いくら昼間暖かくても、夜になると気温が下がってバリバリに凍るので、雨は雨で厄介なのです。年末年始の風邪以来、やたらとだるいので、ゆうべも10時ごろにさっさと寝てしまったのですが、真夜中にパソコンのサージプロテクターの停電警戒音で起されました。アメリカ郊外では、停電なんてしょっちゅうです。とくに雨、風、雪のときは停電するのが当たり前みたいなもんです。どうせ夜中だし、起きた頃には直ってるだろうと思っていたのですが、明るくなって目覚めても停電のまま。そしてやたら寒い。真夜中に停電になってからずっと暖房が切れてるんだから当たり前です。
うちは暖房は電気なので停電になるとアウトです。このあたりにはガスもきていないので、キッチンまわりも湯沸しも全部電気。つまり停電になるとお茶も飲めない、シャワーもできないわけです。もちろん電気はつかないし、今時のコードレス電話は電気がないと通じないのでアンティーク電話でもないかぎり電話もだめです。
停電はよくあるのですが、たいていは数時間で直ります。が、たまに24時間越えることもあって、すでに10時間近くが経過しているという状況はなにか、かなり大きな問題がおきているわけで、かなりスリリングな事態です。夏場の停電で一番困るのは冷蔵庫ですが、冬場は長時間の停電となると寒さが問題です。昨日までの暖かさがうそのように夜中から気温が一気に下がり、外は雪。気温は摂氏マイナス5度。室内の温度もぐんぐん下がっていきます。夏場でないとはいえ、停電対策として冷蔵庫および冷凍庫を絶対開けないことは常識なので、食料品も出せません。
とりあえず、暖かい朝ご飯を食べに行くことにしました。雪に埋まった車を掘り出して、走りはじめると、昨日までの雨が途中から雪に変わって、それが凍ったという最悪のコンディション。で、コンドの私道から表の公道に出ると、なんと通行止め。大きな木が倒れたそうで、どうも停電の原因もそこにあるらしい。一番近い町のある南に行く道が通行止めなので、仕方なく北に向かいました。北にある一番近い町までは15マイルはあって、そこにいたる道は除雪状況がいつも悪いところなので、町にたどりつけるかどうかがわからない。停電の範囲は意外と広いらしくて信号もついてません。北西にまわり道をしてハイウエイまで出て南下しようかと思いながら、ラジオをつけると「道の状態はすごく悪くて、no matter where you go、道は凍ってます。ハイウエイのどこそこが通行止め」とか言っているじゃありませんか。これはちょっとやそっと南に行ったところでどうなるもんでもなさそうです。
ふっと見ると、近所で唯一の24時間営業のデリに一軒だけ明かりがついています。ふだんは入ることもない店なのですが、この際贅沢は言っていられません。中に入ってみたら、デリは大繁盛。みんな考えることは同じらしい。同じ町内にあるこのデリももちろん停電をくらっているわけですが、ジェネレーターをもっていてそれで動かしているのです。
このデリの働きぶりがめざましかった。セルフサービスのコーヒーをいつくも抱えて、ベーコンエッグサンド、だのスクランブルとチーズ、ケチャップ入り、バター抜きだの、結構細かい朝食用サンドイッチの注文をする客をものすごい速さで正確にキッチンに伝え、キッチンはまたすごいスピードで熱々のサンドイッチを作り、通常の10倍はあろうかという客を手際よくさばいているのです。これぞかき入れ時という場面で、プロフェッショナルにガンガン稼ぐ姿というのは、見ていて本当に気持ちがいい。アメリカだって、チェーン店じゃなくて、個人経営の店というのは捨てたもんじゃないのです。停電じゃない時にもまた来ようと思いました。
さて、家に戻って朝食を食べ終わってもまだ電気はつきません。あんまり寒いので暖炉に火を入れることにしました。暖炉というのは見た目は暖かそうなのですが、実はあまり暖かいものではありません。その上、暖房効率という意味ではむしろ暖気を外にだしてしまう逆効果のものらしい。でもとりあえず火ですからまん前にへばりついていれば多少はあったかい。アメリカ郊外の家には暖炉はつきものです。うちみたいな長屋式コンドでも暖炉は必ずあります。で、アメリカ人は一般に暖炉が好きなのですが、私はどうも家の中に火があるというのが安心できない。それも子供や動物という何するかわからないものがウロチョロしてるところで火がガンガン燃えているというのがいや。ということで、前の家でも暖炉は数回しか使いませんでしたが、この家では初めて。
おそるおそるつけてみました。火が燃え出したら、蜂が何匹もあぶりだされてきました。どうも暖炉のどこかに蜂が冬眠していたらしいのです。それが部屋に入ってきては大変なので暖炉の前面のガラス扉をぴっちり閉めてしまったので、全然暖かくない。ほんとうに火が燃えるのを見るだけの気分だけの暖炉です。猫たちは、初めて見る暖炉の火が珍しいらしく、いつまでもじいっと見ていました。
結局、電気が戻ってきたのは、午後4時近く。暗くなる前に決死の覚悟でどこかに食事にでかけようか、と思っていた頃でした。自分の生活が薄氷を踏むようなもんだってことを、改めて思い知らされました。が、考えても仕方がないので、咽喉元すぎたので忘れることにします。

今度は風邪

年末のスタマック・フルーから回復したと思ったら、娘から風邪をもらいました。3が日が明けたとたん娘がすごい咳で発熱。あっという間に私に感染り、翌日咳が出たしたと思ったら、こっちも発熱。娘は2日でケロッとなおりましたが、わたしは高熱が4日間続きました。最低です。娘の方は治っているので、よけい始末が悪い。ずっと前から予定されていたスキー教室やら何やらで運転しないわけにはいかないし、朝だって起きないわけにはいきません。車がないと生活できない土地というのは、本当に子供を役立たずにしてしまいます。
で、今朝になって熱が下がってみれば、山盛りの洗濯物と散らかりまくった家。ぼうっとした頭で、また娘に説教たれながら洗濯して、掃除して。なんかもう、穴のあいたバケツで水を汲んでる気分です。

村の長者様

やっと体調が回復して、家の中を見回すと惨憺たる有様で。お掃除と御節作り(アメリカに来てから正月その他の日本の行事をムキになってちゃんとやっている)で、母は大忙し。
娘は相変わらずお友達とのお付き合いで大忙し。大晦日には、学校で有名な(と娘は言っていた)長者様のお宅に遊びに行きました。なんでも娘の友達のお兄ちゃんが、その長者様宅のドッグシッターおよび留守宅番のアルバイトをやっていて、長者様は寛容にも留守の間(家が何軒もあってバケーションはどこかの別荘に行くらしい)友達を連れて遊びにきてもいいよ、と言ったらしい。それで、そのお友達がうちの娘を誘ってくれたわけです。家の中にプールがあるそうで、水着をもって出かけていきました。で、以下、娘の報告。
「70エーカーの中に、プライベート・レイクが4つあってね、家の中のプールはコンドのプールの倍くらいの大きさなんだよ(話半分としても25メートルプール以上と思われる)。プールにはジャグジーもついてるの。家の中にゲームアーケードもあるんだよ。ただゲームマシンがあるだけじゃなくてね、日本のゲーセンみたいなのが家の中にあるの。あとね、バーが4つあって、パーティーの時にはいろんなテーマのバーになるんだって」
この手の大金持ちはそうそういるもんじゃありませんが、そう珍しくもないのです。ニューヨーク近郊の町にはどこにもたいがい1,2軒はあると思います。それにしてもこの国のお金持ちの「あるもの使って何が悪い」と言わんばかりの無駄な贅沢ぶりには呆れます。何年も前のことですが、やっぱりこの手の長者様の特別一般公開お庭ツアーに行ったことがあります。その馬鹿馬鹿しいまでの贅沢ぶりに「この国は金持ちからもっと税金をとるべきだ」と述べたところ、「お金をもうけたからって、それを取り上げるのは間違ってる。サクセスはパニッシュされるべきじゃない」と元夫が反論したのでたまげました。ほんとに勝ってなんぼの国です、ここは。