母の日と寝ぼけ

今週の日曜日は母の日で、ニューヨーク周辺では、母の日を過ぎたらプラントを外に植えても大丈夫(霜や夜の寒さにやられる心配はない)ということになっていますが、全然暖かくなりません。相変わらず暖房がなきゃ過ごせないし、夜は摂氏5度くらいには下がります。

で、母の日ですが、娘が生まれて初めてわたしより早く起きました。赤ん坊の頃から夜型で、わたし自身が朝型だということもあって子供に起されたという経験が全くありません。なんだか猫がガタガタうるさいな、と思って目が覚めたら猫ではなくて、娘が台所で朝ご飯を作っていたのでした。母の日とか誕生日には「朝ご飯を作ってくれる」というオファーはこれまで何度も聞いているのですが、実際にわたしが寝ているうちに作ってくれたのは初めて。目玉焼きとイチゴとコーヒー。コーヒーは淹れられないので裏のベーグルショップまで行って買ってきました。(うちにはコーヒーメーカーがなくて小鍋でお湯を沸かして淹れるので、娘はまだ自分でやってはいけないことになっている)。

毎日こうあって欲しいものですが、日頃は娘を起すのに一苦労です。どうやって目覚ましもなく早く起きられたのか不思議。本人もなぜ起きられたのか不思議だそうですが、それくらい気合が入った朝ご飯だったわけです。

で、夜のこと。娘が寝た後、一人でコンピュータに向かっていたら、ドスンという音がしました。ベッドから落ちたのかなと思って様子を見に行ったら、娘が立ち上がって歩いています。「どうしたの?」というと「オレ」と言います。娘は「オレ」という一人称は使ったことがありません。「オレって何?」というと、また「オレ」と言って真っ暗な台所に向かって階段を降りていこうとします。「ちょっとどこ行くの?」と聞くと「マッサージが欲しい」(このマッサージが英語発音なのでマッスースに聞こえる)。顔ははっきり起きてて眠そうな顔もしてませんが、言ってる内容はどう考えても寝言。なんかマジで恐かったです。娘の寝言やスリープウォーキング(寝歩き)は珍しくありませんが、それにしてもこんなにはっきりしたのは初めて。「早く寝なさい」とベッドに連れて行って「何寝ぼけてんの」というと「へへへ」と笑って、素直に寝ました。朝になったら本人は全く覚えていませんでした。まるで狐つき。

 

グリーンカードと請求書

去年の秋に申請した新しいグリーンカードがやっと届きました。グリーンカードというのはアメリカ永住権の証明書のことで、永住者のアメリカ出入国には必ず必要なものです。10年毎に更新することになっていて、去年がその10年目だったわけです。免許の更新と同じように必要書類さえ揃えれば確実にもらえますが、テロ対策でチェックを厳しくしたせいで書類処理が滞っている移民局では、こういう単純作業も遅れる一方です。グリーンカードの更新なんて本来1ヶ月かそこらで済まなきゃいけないのに、申請した時点で、10ヶ月たっても届かなかった場合に送る書類までくれました。最初から遅れる気でいるわけです。まあ、とにかく来てよかった。新しいグリーンカードは、なんだかめったやたらとコンピュータ読み取り用の情報が仕込んでありそうなカードで、見た目はすごく地味。顔写真入りですが、写真も名前もトナーが足りないコピー機で印刷したような感じで頼りない。

今日は病院からの請求書も届いていました。この医療関係の請求書というのが曲者です。これは昨年、体調が悪かったときに胃カメラの検査をした時のものだと封筒を開ける前からわかっています。ちゃんとわたしの健康保険でカバーする医者を選んでいるので、検査料は保険会社から直接支払われるはずだったんですが、まず保険会社から必要なデータが届いてないから検査に立ち会った麻酔医の費用は支払えないという手紙が来ました。とりあえず保険屋に電話すると、医者から必要な書類が提出されてないと言われ、病院に電話すると「麻酔医は常勤じゃないから書類処理が遅れてるだけ」といいます。請求書じゃないんだからほっとけばいいそうです。次に検査をした医者の請求分も払えないという手紙が保険屋から来ましたが、どうせ同じことだからと思ってほってあります。でも、相当高額なので、精神衛生上大変よくない。で、そこに来た病院からの封筒。とうとう、請求書がきちゃったか、と思って、おそるおそる開けました。本当に心臓に良くない。で、中身は診察料の払い残し20ドルの請求書だったので、たいしたことなかったんですが、この手の保険屋の払う払わないのやり取りには本当にうんざりします。昨年小さな手術をした時もそうだったし、ちょっと高額な医療を受けると必ずといっていいほど、この手のお手紙が来るんです。結局は支払われてるからいいようなものの、こうした無駄な書類処理に一体どれだけの医療費が浪費されているのかと思うと、そして、わたしが支払ってる超高額な保険料がこんなことに使われてるのかと思うと腹が立ちます。

琴ツアー5:着物着ぐるみ

(これはシリーズなので、初めて読む方は琴ツアー1から読まれた方が事情がわかりやすいです。)

琴ツアー最後は毎年恒例のブルックリン植物園の桜祭り。正確にはたまたま琴ツアーと時期が重なっただけで、催しとしては、ずっと気軽なものです。会場は植物園の屋外テントステージ。朝はどんよりして小雨が降っていましたが、昼頃から青空がひろがってすごい人出。準備する部屋のある建物からステージのあるテントまで着物姿でお琴を運んでいると、えらい注目を浴びます。歩いてるだけでカメラを向けられまくり、一緒に写真に写ってくれとやたらと頼まれます。要するに遊園地の着ぐるみと同じことで、着物の中身はどうでもいいんですが、それでも気分のいいもんです。

師匠がニューヨークで琴を教え始めた頃は、黒のボトムに白のトップといったありきたりのスタイルの洋服で演奏していたのだそうです。が、ある時、エンターテイメントなんだから見ためもきれいでなきゃいけない、と気がついて、演奏は全員着物という方針にしたのだそうです。わたしが習いはじめた4年前には、既に演奏は着物、という習慣ができあがっていました。男性も紋付に袴なので、三味線ボーイズだってマイ紋付マイ袴です。

着物といっても、日本のおさらい会のように付け下げ以上であること、といったドレスコードがあるわけじゃないし、大枚はたいて新しい着物を仕立てる人なんかまずいません。若い頃に来てた着物だの、母親の(若い頃の)着物だの、古着屋で買った着物だのいろいろな手段で工夫します。渋くて品のいい着物に凝るなんてことも誰もしません。派手できれいにするために着物を着るんですから。で、回数を重ねるごとにみんなさらに派手になってくる。今回のように着物を着る機会が立て続けに続くと、それはさらにエスカレートします。日頃、「装いは派手に」を奨励している師匠が「なんか皆さん派手になってきませんか?」というくらいになりました。なにしろ着ぐるみなんですから、自分じゃないんだから、どんなに派手だってへっちゃらです。どこぞのママも姐さんも演歌歌手もまとめてドンと来いです。みんなで小林幸子まっしぐら。

5ポンド

今日は、年に一度の婦人科健診。日本では、毎年受ける人はまだ少ないかもしれませんが、アメリカでは婦人科健診とマンモグラムは必ず年に1回受ける人がほとんどです。わたしもアメリカに来てから、毎年受けるようになりました。どうして、こんなに忘れずにちゃんと行っているかというと、子宮頸癌は健診さえ受けてればまず死ぬようなことにはならないとか、ニューヨーク在住の日本人の友達の間で異常に乳癌発生率が高いとか(ニューヨークの空気が悪いんじゃないかと思うくらい多い)いうこともありますが、たぶんそれと同じくらい大きな理由になってるのが健康保険に含まれてるから。国民健康保険も社会健康保険もないアメリカでは健康保険料がすごく高い。とくにわたしのようなフリーランスは一人分でも月に400ドル以上。家族3人とかなれば1000ドルを越えるのも当たり前。常に家計を圧迫する元凶となっています。これだけ払ってるんだからついてくるものはしっかり受けなきゃ気がすみません。ちなみに、地域の無料健診なんて有難いものはアメリカには存在しません。貧乏人は死ね、長生きしたけりゃ金持ちになりな、というのがアメリカ政府の基本方針ですから。

でもまあ、とりあえずの問題はそんなことよりも、体重が去年より5ポンドも増えていたってことで。去年だって、あと5ポンドくらいなんとか減らしたいものだと思ってたのに、減るどころか増えた。記録更新です。わたしの生涯で今が一番重い。やっぱり、このところ、忙しくてろくなもの食べてなかった(ろくでもないものはいっぱい食べた)のがよくなかったのか。この調子で上昇線をたどったらまじでやばい。

琴ツアー4:パーキングとクオーター

琴ツアーもニューヨークになると、勝手知ったる場所の安心感はあるんですが、移動は地方よりかえって大変です。大多数の人は公演にもリハーサルにも地下鉄やバスで琴も着物もかついできます。それも大変ですが、車で行けば行ったで、駐車スペースがない。路上はまず不可能だし、駐車場は高い(コンサート会場の近くの駐車場では40ドル以上とられた)。それでも、わたしの車のような普通車は、高いのを我慢すればガレージに入れられますが、楽器の移動に使う15人乗りバンだと車高が高いので入れられる駐車場がなかなかない。で、コンサート当日、バンを転がしてきた師匠は駐車場に入れられず、路上のパーキングメーターにとりあえず停めてきました。路上のパーキングメーターは1時間で、5,6枚のクオーター(25セント)を食います。そこで、全員からクオーターの寄付を募る役目をわたしがおおせつかり、紙コップ一杯のクオーターが集まったところで、バンの入れられる駐車場が見つかりました。もう誰がいくら入れたか入れた方も覚えてないから、とりあえず預かっといてね、とわたしの手元には紙コップ一杯のクオーターが残りました。

アメリカでは、1999年から裏に各州の絵柄の入ったクオーターが発行されてまして、2008年末に全50州のクオーターが出揃う予定です。毎年5州ずつ歴史の古い州から発行されてるんですが、これが始まった頃、娘はちょうど小学校で州の勉強を始めた頃で各州のクオーター・コレクション・キットというのをもらいました。クオーター50枚分をはめられるようになったシートで、最初の1年は、わたしや元夫が小銭の中から探してあげると喜んでいましたが、当然のことながら2年目くらいにはすっかり興味を失いました。が、娘のためにせっせとクオーター集めをしていたわたしは、クオーターを見ると、裏を確かめる癖がついてしまいました。何より、せっかくここまで集めたからには50枚すべて埋めなきゃ気がすまない(わたしはこういう無意味なことに執念深い)。が、郊外に暮らしていると現金を使う機会が少ないので、わたしよりシティに行く機会の多い元夫の小銭をチェックしなくなってから、コレクションの進み具合がすっかり停滞しています。2003年、2004年は欠けだらけ。

というような事情があって、紙コップ1杯のクオーターです。しかも、とりあえず今他にすべき仕事はない。さっき、5,6枚は寄付したしな、もってない州のクオーターがあったら、1,2枚取り替えてもらっちゃってもいいかも、と思うと裏を確かめずにはいられません。で、なるべく目立たないように隅っこで静かに裏チェックをしていたんですが、そこに通りかかったのがお手伝い部隊長の師匠ハズバンド。心底からの親切で「何してるんですか」と聞かれまして、「あ、いや、実はクオーター・コレクションしてて、クオーターを見ると確かめずにはいられなくて、2003年以降のがちょっと欠けてて」と言うと、「あ、僕も前にコレクションしようと思ったんですけど、そんなの意味ないって奥さんにコインランドリーに使われちゃったんです」と言って、なんと一緒に探してくれました。いや、こっそり人目につかないようにやろうと思ってたのに困っちゃったな、と思ったところに通りかかったのが三味線ボーイズ。「何してるの?あ、クオーターのコレクション?子供みたーい」と子供みたいな三味線ボーイズに馬鹿にされまして、そんなに騒がれるとますます目立ってしまうじゃないかと思って「いや、これは娘のためので・・・」と言い訳すると、「ふうん、娘のためえ?」と全然信じてない。こいつらもクオーター・コレクションを始めて投げ出した前科があるに違いありません。

で、結果は大収穫で、欠けていた4州のうち3州を発見。ごめんなさい、みんなのクオーターから3枚ネコババしました。あと、まだアーカンソーがないんですけど。

琴ツアー3:脳みそ省エネ切り替えをしない男

一昨日のニューヨーク・コンサート、昨日の桜祭りで、琴ツアーも終了。このツアーにはお琴が30人くらい、三味線が5,6人参加してるんですが、その他に数人の演奏者の夫およびボーイフレンド部隊が裏方として、ずっと手伝ってくれていました。楽器の移動からセッティングまで、それはそれは、まめまめしく働いてくれる上に、誰を探してこいの、何を持ってきてくれの、というパシリ仕事まで文句一つ言わず(重要)、それどころか、よく気がついて(これも重要)すぐに(すごく重要)動いてくれます。妻のために、とんでもない早起きをして大荷物運んで運転して、言われた通りの裏方用コスチューム(黒の上下にネクタイ)に着替え、2週間分の週末を完全に潰して妻の仕事や趣味の協力するあっぱれな夫、というものも世の中には存在するんですね。もちろん参加者全員の配偶者およびボーイフレンドが、お手伝い部隊のようなわけではありませんから、わたしと同じように「いやあ、目から鱗」と思ってる人もいるわけです。ていうか、きっとその方が多い。

何か頼むと嫌な顔する(とても鬱陶しい)。絶対にすぐにやらない(自分でやった方が早い)。一応やってくれても、嫌がらせかと思うくらい気のきかない事をする(文句言うとふてくされる)。というような事を繰り返して、わたしの場合は、だったらいない方がいいや、になったわけですが、そこまで行かなくても、夫はあてにしない、というのが当たり前になってるケースは世の中多いと思う。別に頭が悪いわけでも鈍いわけでもないのに、妻の依頼事項となると、突然脳ミソ省エネモードになるのは、いかがなわけなのだろうかと、目鱗組は常々思っています。だから、脳ミソも体力もパワー全開で妻のお手伝いをする夫・ボーイフレンド部隊のえらさは驚き。次は、ぜひ省エネ切り替えなしの男をみつけたいものです。