リビング・ウイル

明日からキッチンの改装工事が始まる予定で、キャビネットの中のものを箱詰めしたり、忙しい中、結構真剣に準備してたのに、昨日キッチン屋から電話があって、キャビネットの配送が遅れるから工事開始は1週間先送りということになりました。まあ、いろんな事が間に合ってなかったんで、ホッとした面もあるんですが、のっけからこれじゃ先が思いやられます。

ここ1週間、こっちで毎日ニュースになってるのは、フロリダで死にかけてる女性を助けるか、自然にまかせて死なせるか、ということ。この人は30代で、もう10年以上も前に摂食障害から心臓麻痺を起して、命は助かったものの重い脳障害が残りました。自力で飲食ができないので、チューブによる人工栄養摂取が必要です。知能障害がどれくらいかは知りませんが、とにかく自分の意志を表明はできない。で、このまま、人工的にでも生かし続けたいという両親と、もう栄養補給水分補給を停止して死なせようという夫とが対立してるわけです。で、この夫っていうのがいかにもあやしげなヤツで、既に内縁の妻との間に二人の子供もいて(一応まだ結婚してるので、再婚はできない)、死にかけてる妻の医療過誤訴訟を起して慰謝料を1億円近く手にしていたりします。で、このごに及んで突然、妻は人工的に生かされるのは望んでいなかったとか言ってライフサポートを切ろうとしている。両親の方は、もうほっといてくれていいから、娘のケアをこっちにまかせてくれと言ってるわけです。ところが、法的に妻のケアの決定権を持っているのが夫なので、夫が拒否したいじょう病院としては人工栄養補給は停止せざるを得ない、というわけで、停止してから既に10日以上がたっていて、何時死んでもおかしくない状態になってるわけです。どう考えても世間の同情は両親の方に集まります。病院の前にはダイハードなクリスチャンが集まって、お祈りするやらプロテストするやら大変な騒ぎになっています。で、他にも大騒ぎしてるのはジョージ・ブッシュの兄ちゃん(弟だったっけ)のフロリダ知事、ジェブ・ブッシュ。あのあやしげな夫と、同情を集めている両親が、反プロチョイス、プロライフ万歳みたいなことに使われるのはすごく嫌。が、それよりも私が気になるのはリビング・ウイルっていうやつです。

Willっていうのは遺書ですが、自分が意志を表明できなくなった時のために自分の医療ケアについての意志を書き残すっていうのがリビング・ウイル。なぜ、それが気になるかというと、今、私のを作成中だから。思うところがあって作ってるとかいうのではなくて、普通の遺書のおまけでついてきたからなんです。では、なぜ本編の遺書作成中かというと、これも離婚手続きの一貫です。私の遺書第一号はもう5,6年前に作成されていました。なぜ作成されたかというと、元夫の遺書とセット価格だったから。アメリカでは、子供が成人する前に遺書なしで死ぬと、子供の後見人指定や遺産の相続がえらいめんどくさいことになります。下手をすると、法的手続きの手数料をがっぽり取られかねない。で、その子供のこともあって私の遺書も必要だったわけです。が、離婚すれば、当然相続人が変わりますから、遺書は書き換えなきゃならない。で、それを依頼した弁護士(遺書作成には必ず弁護士が必要)が、今度はリビング・ウイルをセットにしてくれたわけです。もちろん遺書には雛形かありまして、穴埋め形式になっています。誰を代理人に指定するかとか必要なことを書き込んで、変更したいところは変更してもらいます。でも、いかにも法的な小難しい表現ばかりなので、はっきり言って何が書いてあるのが読んでもよくわかんない。でもわかったかぎりでは、force feeding は望まない、とある。つまり人工的なチューブ栄養はやめてくれってことですね。どうもそれが雛形らしい。何の楽しみもなく生かされてるだけってのは誰だって有難くないだろうってことなのでしょう。ここで、やっと話がつながったわけですが、最初に読んだときには深く考えもしなかったんですが、ここ何日かの報道を見るにつけ、人工栄養補給停止っていうのは人工呼吸器や、人工的に心臓を動かすのを停めるのとはちょっとわけがちがうというのがわかりました。呼吸や鼓動と違って、停めてもすぐには死なない。これって自然に飢え死にさせるってことじゃないか。マスコミにアピールするためとはいえ、例のフロリダの女性の両親の娘の描写がすごく恐い。脱水状態で皮膚がボロボロとか、あちこちから出血してるとか。そういう自然っていうのはあんまり有難くない。でまた、代理人というのが、アメリカに娘以外の家族がいない身としては決めかねるものもあります。というわけで、既に片付けなきゃならない書類山の一番下の方にうまってる遺書のドラフトは、さらに熟成がすすみそうです。

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投稿者: motokokuroda

アメリカ生活も四半世紀を超えました。お料理から政治まで、興味のおもむくままに。

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